FEBRUARY / チューリップ
見るたびに心弾む
のびやかで、自由な花。
大寒波が訪れた今年の冬。「雪が思いのほかたくさん積もったから、息子を幼稚園に預けにいくのも必死でした!さぁ、はじめましょう」そう言って、まだ蕾の『チューリップ』をストーブの前に並べた壱岐さん。「今は無理矢理こうして咲かせてしまうけど、蕾から咲くまで、咲いてから開ききって散るまでの姿が愛らしく、かっこいいのがチューリップ。その可憐でエネルギッシュな姿には、子どもも大人も魅了されますよね。息子を初めて花市場に連れていった時に、好きな花を選んでいいよって言ったら、真っ先に手にしたのが赤いチューリップでした」。ピンク、紫、黄色、オレンジ。少し毒々しいものから清楚なものまで、個性豊かな品種が豊富に揃う。「生ける時は、腐りやすいことから葉っぱは極力取るように、と言われているけれど、水換えがちゃんとできるなら、なるべく残したい。この葉っぱも私にとっては魅力的で個性のひとつだから。花器は葉や茎のフォルムが楽しめるクリアなものを選んで。チューリップは購入時真っすぐでも、飾っているうちに自然とカーブしてきて、まるでお辞儀をしているような様がとっても愛らしいんです。日の動きに合わせて開いたり閉じたり。自由に変化する姿は一瞬も飽きる隙がありませんよ」。雪雲が去った明るい日差しに、きらきらと息づくチューリップが、冷たい冬をゆっくりと溶かしていく。