第46回:salvia デザイナー セキユリヲより 私たち夫婦で、子どもを幸せにできるだろうかと話し合った。
女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。昨年2月からはじまった、絵本作家ユニット、tupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡。いよいよ、さいごのお手紙です。 セキユリヲさんから中川敦子さんへ。 ────── 中川敦子さま 1年間、あっという間でした! 電話でもメールでもSNSでもなく、郵便の手紙のやりとりともまた少し違った「往復書簡」も、わたしからはこれが最後になります。バタバタと過ぎていき、気がついたら子どもが大きくなっていた、となりがちな子育て期間の中、ひと月に一度頭を整理して自分や家族のことを見つめ直し、つたないながらも毎月言葉にして。敦子さんにいつもゆったりと受け止めてもらえるので、無理せず自然に続けることができました。貴重な機会を本当にありがとう! 今度はみんなで会ってゆっくり話したいですね。 我が家では、先月インフルエンザB型が一巡して、やっと落ち着いたところです。チビの高熱から始まり、最後は看病していたわたしに感染して終わる、という「インフル家族あるある」な約2週間。いつもは元気すぎる子どもたちがぐったりして別人のようになり、家中がシーンと静まりかえっていました。長女は、ふだん喜怒哀楽がすごくはっきりしていて、何かにつけてプンプン怒ることも多いのだけど、熱が下がって何日も経ってからやっと「コラーーーーーア、るいとおおおおお!!!」と弟の名前を叫ぶようになりました(笑)。「ああ、元気になったんだねえ」と夫とひと安心。「怒る」って、人間の感情の中でもすごくエネルギーを使うことなんだなあということに感心しました。「おとなしめの子を育てるとこういう感じなのかもね」なんて、ふたりが元気になった今では笑い話をしていますが、体力的にも精神的にも本当にきつかった〜!健康は何よりの宝物。中川家は大丈夫でしたか? そうそう、書いてくれた通り、うちはまだまだ小さな子たちを前にテンテコマイです。もうすぐ3歳の長男なんて一番のいたずら盛りで、ちょっと目を離したら、泥棒が入ったのかと思うくらい部屋中がぐちゃぐちゃになっていたり、外に出たら出たでパパパパーっとどこかに消えて、遠くでニコニコ笑っていたり。でも、振り返ってみたら「あの頃、よかったなあ、かわいかったなあ」と思い出すのでしょうね。