第42回:salvia デザイナー セキユリヲより 「好き」をみつける教室通い。彼女のペースで行けたらそれでいい。
女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。2月からは、人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。 セキユリヲさんから中川敦子さんへ。 ────── 中川敦子さま 師走ですね。ますます忙しくお過ごしのことと思います。クリスマスにそれほど強い思い入れはないものの、キラキラと輝くイルミネーションや、きれいに飾りつけされたショーウィンドウを見ると心華やぎます。我が家は娘がサンタさんのことをわかるようになって3年目なんです。おととしはお医者さんセットを、去年は絵の具セットを届けてもらいました。今年は息子もサンタさんの存在に気がつくかな。何がプレゼントされるかなー。 ちょうど10年前に住んでいたスウェーデンはクリスマスの本場で、とても素敵な季節でした。この時期になると週末ごとに街角でクリスマスマーケットが開かれたり、ルシア祭というおごそかな早朝の儀式があったり、ジンジャークッキーや手作りのキャンドルをつくる小さな会があったり、本物の大きなもみの木にクリスマスの飾りを飾ったり、クリスマスイブにはサーモンやスパイスを使った特別なごちそうをいただいてパーティーを開いたり。クリスマス用のインテリアファブリックがそれぞれの家に用意されていて、壁掛けやラグ、クッションのテキスタイルが一斉にあたたかな色合いに模様替えされるのも印象的でした。昔ながらの伝統が受け継がれ、クリスマスという文化がそれぞれの家庭にどんなに大切にされているかを実感させてもらえたこと、強く心に残っています。 その時のことを思い出していたら、日本のお正月の良さを子どもたちにも伝えていきたいなあという気持ちになってきました。年末年始は忙しくてあまり凝ったことはできないけれど、お正月飾りとか、おせち料理とか、年賀状とか、お餅つきとか、ひとつひとつに意味があって、新しい年を気持ちよく迎えるために昔から続いていることなんだよ、ということがわかってもらえるといい。私の実家では、おじいちゃんを中心に、12月30日になるとお餅つきをして鏡餅を神様にお供えしていました。神棚や床の間、台所やお手洗いなど、どんなところにも神様がいてわたしたちを守ってくれているから、鏡餅をお供えするんだよと教えてもらった記憶があります。渋谷のような大きな街に住んでいるとハロウィンやらクリスマスで子どもたちと一緒に浮かれて(笑)しまうのですが、日本人ならお正月文化を大事にしないと! なんて。