DATE 2019.10.18

第39回:tupera tupera 中川敦子より
小学校に入ると時間に余裕ができますか? という質問の答えはNO!

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

中川敦子さんからセキユリヲさんへ。

 

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セキユリヲさま

 

こんにちは。すっかり秋ですね。
家から眺める鴨川の紅葉はまだですが、川沿いを歩いていたら、土手に真っ赤な彼岸花が咲いているのをみつけてハッとしました。夏バテを乗り切って秋の気配にほっとしたと思ったら、もう10月!あと2ヶ月で今年が終わってしまう~と焦っています。

 

でも、結局無理はできないので、私達も1日の流れは健康的に過ごせているなあと思います。朝起きて子ども達を送り出したら、仕事開始。1年生の息子も学童にいっているので、夕方までが仕事に集中する時間。その後はどちらかが夕食を担当するか2人で協力して作って、家族4人で夕飯タイム。忙しくても、ほぼ毎日食事は家族みんなでできるというのが、自宅で仕事をしている良さですよね。ありがたいことです。会社勤めで夜が遅いというのは、本当に大変だなあと思います。私も、やることを済ませたら夜はさっさと寝てしまうタイプ。子どもが寝てから1人の時間を楽しんだりというようなことはできません。だからレイトショーは無理だろうなあ(笑)

 

子ども達(時に父ちゃんも混じって)が仲良く遊んで盛り上がってケラケラ笑っている声をBGMに、食後の片付けをする時間が幸せです。(長くは続かず、そのうちケンカになってワーワー言いだすんですけど。)

 

小学校に入ると時間に余裕ができますか? という質問がありましたが、私の個人的な答えはNO。私の実感では、余裕がでてくるのは5年生くらいからかな。特に1年生が始まった時は、一番大変!親も子も「学校」という新しい環境に慣れていくのは大変なこと。

 

何を準備したらいいか。宿題もさせて、忘れ物のないように。朝起こして遅刻しないように送り出す。それからPTA活動など。なかなかてんてこまいです。小学生になったんだから、自分のことは自分で!できるようにさせましょう。とか言われるし、親もいつまでも子ども扱いしちゃダメかなとか思いますが、幼稚園保育園生活から小学校へのジャンプアップはすごい差がありますよね。(その後の中学高校~よりも…)

 

急に子どもを突き放してしまったら可哀想。息子も最初は学校でがんばっている反動が家で出て、わあ~! と急に暴れん坊になったりワガママになったりしました。でも、学童の先生も「家で出せているっていうのはいいことですよ! 安心できる場所だってことです」って言ってくれて、そうだなあと納得しました。今はリズムもできて、落ち着いて楽しんでいます。まあ、暴れん坊なのはもともとの性格なので、そのままですが(笑)

 

長女のほうは、女の子なので精神的な成長は早かったけれど、本当の意味で自分のことは自分で何も言わずにできるようになったのは、6年生になってからかなあ。単純に「1人でできるようになった」というだけじゃなくて、ちゃんと自分の意思で考えて行動しているというのが伝わってくるので、安心して任せられるようになりました。(もっと成長して世界が広がってくると、また安心できないことも出てきそうですが)ここ最近、特にその変化を感じています。

 

6年生になった頃、友達に誘われてイヤイヤ始めた朝のランニングも、この秋いろいろな大会に出る選手に選ばれるほどになり、やる気をみせています。唯一続けてきた習い事のピアノも、先日の発表会で堂々と2曲ミスなく演奏することができました。昨年とは違い、こんな風に演奏したいという気持ちが感じられて、その成長に感動しました。
どちらかというと瞬発的な性格で、じっくり続けることは苦手だなと思っていましたが、一つのことを続けていくと、ある時1段階越えて、その先に見える世界があるということを、本人が実感できたんじゃないかな。

 

親も子どもと接していて、「あ、今この子はひとつ階段をのぼったなあ。」と感じる瞬間ありませんか? 得意不得意もあるし、その子によって進みはまちまちだとわかっていても、ついつい周りと比べて遅いことを心配したり、何回教えてもなんでわかってくれないの!と、いらいらヒステリックになってしまったり。でも、焦らなくてもその子なりのタイミングで、ある日ポーンと越えていく。それも、心配してたこっちがアホらしくなるくらいあっけらかんと。そんな風に成長していく子を見ると、こんどは急に親のほうが「まってまって!」って追いかけたくなりますよね(笑)

 

昨日は、秋晴れの中、運動会でした! おじいちゃんおばあちゃんも皆応援に来てくれて、賑やかに観戦。そんなに感動するような雰囲気ではないなあと油断していたら、最後の6年生の組体操で、円陣を組んだ後、走って入場してきた子ども達を見ただけで涙を流してしまいました。涙腺ゆるいです。

 

秋。運動したり、展覧会に行ったり、美味しい物食べて、年末まで駆け抜ける力をたくわえたいと思います。フレーフレーわたし!フレーフレーみんな!

 

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次回更新は11/1(金)の予定です。salvia デザイナー セキユリヲさんからのお返事です。

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