女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。2月からは、人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。
セキユリヲさんから中川敦子さんへ。
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中川敦子さま
夏休みを終えて、またいつもの日常が戻って来ました。朝起きてお弁当づくり、バタバタと朝ごはんを済ませて子どもたちを自主保育の活動場所に送り、だいたい週に1回の保育当番、週に1回の長男の療育参加、それ以外の日は打ち合わせや制作をして、14時にお迎えへ行きます。
お迎えに行くと「その日の子どもたちの様子」を保育当番のお母さんからじっくり聞けるのが一日のお楽しみ。リーダー争いをする子がいたり、まだおしゃべりもできない小さな子たちの「言葉のない会話」があったり、小さな仲良しグループが日々変化していたり、子どもたちの行動はまるでさる山なんです。母たちもお腹が痛くなるくらい笑って、子どもの成長をみんなで感動して。敦子さんのお手紙に「じっくり子どもたちと向き合っている時間が…」とありましたが、自主保育の活動をしていると自分の子だけでなく同じ仲間の子どもたちと「向き合いまくり」かも。雨の日や寒い日の活動はつらくてほーんとに大変なときもあるけれど、やっぱり「このタイミングでこの場に出会えてよかった」と思います。普段我が子と「向き合い」過ぎて、お休みの日に特別にどこかに行く、ということがちょっと少ない気もしますが…。
自主保育が終わると家に戻り、おやつを食べて、同じマンションの子が遊びに来る日もあったりして。ちょっとEテレなどの番組を見つつ夕飯の準備をして、早めの夕ご飯を済ませ、お風呂に入って。デザートの果物を食べたら歯磨きして、絵本を読んで、私も一緒に夜はさっと寝てしまいます。ああなんて健康的でざっくりとしたシンプルな日々なんだろう。
自分の時間が足りないな、もうちょっと時間があったらあれもこれもしたいけどな、という気持ちも心のどこかにあるけれど、長女が小学校に上がるまでのあと一年半はこの時間の流れを目いっぱい楽しもう! と、思っています。子どもが小学校に上がると少し時間の余裕ができると聞くけど、実際どうなのでしょう?
ママ女子会、いいですねー! 似たような境遇の友達同士で愚痴を言い合うだけで、スカッとして明日も頑張ろうと思えたりすること、ありますよね。最近知り合った友人は、週に1度「シンデレラの日」を設けて、子どものお迎えから寝かしつけをダンナさんにお任せして、自分がやりたいことをやる日と決めているんですって。友達と美味しいものを食べに行ってもいいし、遅くまで残業してもいいし、映画を見たり、深夜の本屋さんに行ったり、その日は何時に帰ってもよし、という夫婦の約束にしているのだそうです。飲み会など特別な用事がある日はさておき、平日の夕方から夜を自分だけの時間として使うというのは考えてもみなかった! 母としてはなんとなく、家にいるのが当然、と思っていた時間帯なのだけど、たまには夜の本屋やレイトショーにふらりと繰り出してみようかな。この生活だと、あんまり夜遅くまで起きていられる自信もないけどー(笑)。
そうそう、小学生になると毎日、宿題があるんですよね。宿題の「音読」、私の友人ママたちも毎日子どもに付き合うのが大変!って言ってます。そうよね、指定された話じゃなくて、自分が選んだ物語なら面白いと思えるよね。自分で決める、自分で選ぶ、ってとても大切なこと。宿題の内容もある程度自分で決められたらいいのになあ。
少し話は逸れますが、5歳になったばかりの長女は文字を覚えたい気持ちが強くなっていて、時々ひらがなドリルみたいなものをやっているのだけど、小学生の教科書っぽいデザインのものより大好きな◯リキュアの絵がたくさん描いてあるようなものだと俄然、張り切って書きはじめます。親としてはそのピンクっぽいキラキラした世界観は好みではないし、キャラクター物はあんまり…とも思うけど、自分に例えて言えば、好きな装丁の本を読みたいとか、好きなデザインのノートを使いたい、というのと同じなのかもしれませんね。自分で選んだドリルを使って、日本語の世界の扉を開けてもらいたい(!)ものです。
娘さん、大文字駅伝の代表選手になれるといいね! 長女もずいぶん体力がついてきて、自主保育の活動中、毎日のマラソンを頑張っています。最近は年長さんを追い越して1位になることも何度かあったみたい。一度、1位を経験すると自信につながるようで「また明日もがんばる! ママ見てね」とかわいい発言をしてくれます。子どもが頑張っている姿、泣けますよね。私、自分の子じゃなくても、子どもがお祭りで真剣に和太鼓を叩く姿とか、公園で吹奏楽を一生懸命やる姿を見るだけで涙が出てきちゃうもの。
2歳半の長男は食べるのが大好きなのはいいんだけど、白米とお肉が大好きという中学生部活男子のようになってきました。緑の野菜は視界に入るだけで顔をそむけたり、時々ぽいっと投げたりします。がーん。
ではまたね。
セキユリヲ
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次回更新は10/18(金)の予定です。絵本作家tupera tuperaの中川敦子さんからのお返事です。