女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。
中川敦子さんからセキユリヲさんへ。
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セキユリヲさま
こんにちは。朝晩はいい風がふいて、過ごしやすくなってきました。この間ソファーに座ってテレビを観ていたら、リーンリーンと近くから声が。外で鳴いているにしては大きい声だったので、みんなで探してみたら、ソファーの後ろにコオロギさんがいて、秋の到来を感じました。昨日の夕食は、今シーズン初の鍋が登場。そんな季節ですね。
20日間、夏の北海道を満喫した様子(美しい窓からの風景も)、とっても羨ましく拝見しました! 仕事柄、「親が絵本作家さんなんて、すごくいい環境で育っていてお子さんたちが羨ましい」なんて言ってもらうこともあるのですが…(確かにセキさんがお手紙に書いていたように、間近で親の仕事を感じられるプラス面もあると思いますが)オンオフがはっきりしない生活の中で、じっくりと子ども達と向き合って、外でスポーツやアウトドアなど、家族で大自然を満喫するような経験ができていないなあと日々感じていて、友人知人のSNSでそんな家族の様子を見ると、ちょっと落ち込んだりもします。セキさんは、周りのそういう情報には振り回されないですか?
自分たちが好きで、やり甲斐のある仕事をさせてもらっているので、仕事(制作)の時間もやっぱり削りたくないし、やるべきことはいくらでもある。でも、もっとゆっくりした家族の時間もほしい。ジレンマです。何もかもはできないし、時間は限られているので、優先順位を決めて、うまくスケジューリングしていくしかないんですけどね。
子ども達はあっという間に大きくなってしまうから、親と一緒にいてくれる今の時間を大事にしなくては、とやっぱり焦るような気持ちになることもあります(笑)。
夏の疲れを引きずりながら仕事の締め切りも重なってきて、そんなバタバタモヤモヤした気持ちを抱え、ちょっと心が荒れているなあと感じていた時、離れている親友とLINEで愚痴をぶつけあうだけでも、ちょっと心が晴れました。共感しあえる友がいるって、ありがたい。
最近、夫に子供を任せて美味しいお店に行くママ女子会に誘ってもらったり、東京から久しぶりの友人家族が会いに来てくれて家で夕食をしたり、仲の良い近所の家族と集まったりする機会もありました。近況を報告しあったり、昔の懐かしい話をしたり、みんなが集まる場は、やっぱり元気がもらえますね!
そういう場でお互いの夫婦の話になることも多いんですが、夫婦のどちらかが、ミスや忘れ物の多い「のほほんマイペース派」と、細かいこともよく気が付くけれど小さいことも気にしてしまう、「しっかりもの派」にだいたい分かれるから不思議です。同じ派閥同士は「そうだよね〜そういうことあるよね〜わかるわかる!」って慰めあって一気に親近感がわきます。そして、嫁や夫の悪口を言っていても、笑ってうれしそうに話してるのを見ると、なんだかんだこの2人はうまくいってるんだなあ〜とほほえましく思えます。セキさん夫婦は、どっちが何派ですか?
さて、子ども達の近況ですが、夏休みの宿題がやっと終わった! と思った途端、また2学期の毎日の宿題が始まって、どこからどこまでが休みだったんだか、わからない感じ。 毎日の宿題のひとつに、音読といって、1週間以上同じ教科書の話を毎日読む宿題があるんだけど、飽きるよね。そうなんども気持ちをこめて読めるわけがない。聞くほうだって飽きてしまって、片手間に聞き流してしまうし。
だから我が家では、指定された話じゃなくても、他の新しい読みたい文章でもOKにしています。この間は、息子がひらめいて「そうだ! 今日は宇宙人になって読んでみる。」と声色を変えてワレワレハ〜的な宇宙人発音で読んだので、聞いているこちらも大笑い。同じ話でも、毎回読み方のテーマを変えたり、誰かになりきって読んでみたりというのはナイスアイディアだなと思いました。もちろん、ただの思いつきだったんだけど、嫌なことや苦手なことも、そういうふうに違う角度から自分で楽しめる方法をみつけられたらいいよね。
長女は、今マラソンを頑張っていて、大文字駅伝の学校代表選手を目指しているそうです。もうすぐピアノの発表会もあるし、秋の行事もたくさん! 小学生最初の運動会になる息子と最後の運動会になる娘、2人そろっての運動会は今年だけ。組体操を観ながら、私きっと泣くと思います〜。また、そんな様子も報告しますね。
P.S どこでもショーをするかわいい娘さん、いつか会いたいなあ! 娘も3歳のころ、よく歌っていたのを思い出しました。初めて友人家族とベトナム旅行に行った時にも、その家族の同じ年の子と2人で、ホテルの朝食会場でも、街中でも、マイク(に何かを見立てて)持って歌っていました。懐かしいです〜。写真や動画を録っておいたら、成長した時に一緒に観て、また楽しめますよ。
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次回更新は10/4(金)の予定です。salvia デザイナー セキユリヲさんからのお返事です。