女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。
中川敦子さんからセキユリヲさんへ。
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セキユリヲさま
「暑い暑い!」と言っている間に、夏は勢いよく過ぎていきますね。
それでも、北海道はやっぱり涼しく過ごしやすいですか?
フェリーでの旅、経験ないです。夜の海風や朝の景色、とっても感動しそうですね。いつか家族でトライしてみたいです。
我が家は、8月前半は、前回のお手紙でも書いた、福岡県久留米市に家族で行って来ました。展覧会搬入からオープニング、イベントまで、怒涛の10連泊!
充実の旅を終えて昨日帰ってきたところで、今日は山のような洗濯物や持ち帰った荷物と格闘しながら、過ごしています。
展覧会初日は、台風がまさかのドンピシャ! 九州上陸で心配しましたが、たくさんの方の協力のもと楽しくイベントも終え、賑やかな展覧会スタートを切ることができました。
展覧会やイベントの準備中は、子どもたちに待ってもらう時間も度々あって、親のスケジュールに付き合わせてしまって悪いなあと感じることもありましたが、現地の友人達やスタッフのみなさん、周りの人に支えられて、子ども達2人ともそれぞれに、新しい出会いや経験をすることができました。
特に最後のワークショップでは、小6のお姉ちゃんは、ボランティアスタッフとして集まってくれた皆さんと一緒になって会場を装飾したり準備したり、楽しんで自主的に動いている様子をみて成長を感じました。別れ際には、みんなから寄せ書きをしてもらって、夏のいい思い出になったようでした。小1の息子はその間、一緒にイベントを企画した家族の子ども達と、紙をまるめたボールでサッカーをしたり野球をしたり、バックヤードで汗だくになりながら遊んでいましたよ。
でも、やっぱり暇になる時間には、ゲームをしている時間もありました。
ゲームやスマホなど、子どもにいつからやらせるかどうか、家庭によって考え方もさまざまですが、セキさんはどう思いますか?
(お子さんはまだ小さいから、これからのことだと思いますが)本はずっと読んでいても怒られないけれど、ゲームやテレビは制限されて、悪いイメージなのはなぜでしょうね。
私もやっぱり、ゲームばっかりになってしまうのは嫌で、ずっとやっていると怒ってしまうのですが、男の子は特にゲームがあると、本当に一瞬で仲良くなれるんですよね。楽しそうに笑いながらやっているのをみると、自分たちが作っている絵本の世界と同じ、ひとつのコミュニケーションツールだなあと思います。本もゲームもテレビも映画も……みんなが楽しめる世界を、作り手側も真剣に作っている。そう考えると、否定して、あるジャンルだけ遠ざけるのは違うんじゃないかと思います。
子育てを始めたころは、赤ちゃんに与えるものは、玩具も身につけるものもこだわってセレクトしていましたが、親の趣味だけを押し付けるのも違うんじゃないかと思い、今では我が家は何でもありのカオスな状態です。tupera tuperaの世界観は嫌でも見ているので(笑)。親が好きな世界はわかっているけれど、他にもいろいろなものから、自分なりに好きなものを選んでいってくれたらと思っています。
息子さんの一歩! 大きな一歩ですね。視界が変わって、これまでとは違う物にも興味が出てきそう。楽しみですね。
子どものために、少しでもいいもの、いい環境を与えてあげたいと思って、親として焦るような気持ちになることもありますが、それぞれが生きているその環境の中で、これからたくさんの出会いがあり、親が与えられる以上のことがたくさん待ち受けているんだろうなと思います。それは決していいことばかりではないかもしれないけれど、それを乗り越えていく力も必要ですね。
自分の考えを持ち、自分の力で歩き始めていく子ども達を、どうサポートできるのか? 親としては、これからの課題になりそうです。
京都は、今晩が大文字です。家から舟形がよく見えます。お盆を過ぎても暑さは続きますが、秋の気配もしてきそうですね。
残りの夏を、楽しみましょう!
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次回更新は9/6(金)の予定です。salvia デザイナー セキユリヲさんからのお返事です。