DATE 2019.07.19

第33回:tupera tupera 中川敦子より
6歳の息子が自転車デビュー。いろんな「はじめて」を思い出す。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

中川敦子さんからセキユリヲさんへ。

 

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セキユリヲさま

 

今年は梅雨が遅れて、6月は比較的に爽やかな日が続いていましたが、ここ数日の湿気た重い空気。いよいよ、盆地の夏がやってきたのを感じます。

 

日帰りで海なんて、いいですね! 遊び疲れて、帰りは電車に揺られうとうとしている、セキさん家族の幸せな風景が浮かびました。
我が家の最新ニュースといえば、6歳の息子が自転車デビューをした事でしょうか。成長するにつれ、子どもたちの「はじめて」に立ち会える瞬間は少なくなってきますが、息子が緊張しながらヨロヨロと自転車をこぎだす後ろ姿、自分の力で進めた時の満面の笑顔を見れた時は、やっぱり親としてうれしかったです。「はじめて」歩けるようになった時、足を一歩踏み出す度にうれしくてキャッキャとはしゃいでいた幼いころの光景を、久しぶりに思い出しました。

 

最近は、だいぶ上手に乗れるようになってきたので、近くの友達のお店まで、みんなで自転車で出かけるなど、プチサイクリングを楽しんでいます。
京都は、お店をやっている友人が多いので、約束をして会わなくても、時間ができた時にふらっと立ち寄れる場所がたくさんあるのがうれしいです。コーヒーを飲みに行ったり、本を買いに行ったり、展示を観に行ったり。自転車で行ける範囲に素敵なお店がたくさんあります。

 

セキさんが、住んでいる場所もそうですね。渋谷というと人がいっぱいの駅周辺をまず思い浮かべてしまうけれど、少し離れると落ち着いた空気が流れていますよね。感度の高い人たちがたくさん住んでいて刺激がありそうだし、「かぞくのアトリエ」や「代官山ティーンズクリエィティブ」など、子どものための行政の施設も意欲的で面白い場所が多く、うらやましいなあと思います。

 

そして「フカマルシェ」! 第1回目の成功おめでとうございます。まず名前が最高ですね! (私たちも本のタイトルとか、よくダジャレ的につけますよ)そして、出展メンバーも濃いですね。これはどんどん深まっていきそう。

 

自分が住む地域に、お気に入りの「場」があると、暮らしが豊かになりますよね。心が落ち着くお店だったり、居心地のいい図書館だったり。期間限定で開催されるマルシェやお祭りやイベントも、主催者側が楽しんでいるとプラスの空気が流れていて、集まったみんなも自然と笑顔になって元気になれる。私たちも、各地でワークショップなどをするたびに、そこが一番大事だなと実感しています。主催者側のスタッフが全力で楽しんで、当日をワクワク楽しみに準備をしていると、その空気は確実に伝わる。逆にそうでないと、当日も何かうまくいかなかったりすることも…。結局は、人なんですね。内容よりも、人と人が出会って、関係が深まっていく過程が一番楽しいと思います。

 

最近、遊びに行った地域のイベントで面白かったのは、こども商店街! 手作りの商品でも、いらなくなった物でもOKで、子どもたちが出展者になるのですが、これがなかなか侮れない。お買い得な値段で手作りの可愛いアクセサリーが売っていたり、掘り出し物のおもちゃに出会えたり。何より子どもたちのパワーが「場」を明るくしてくれます。呼び込みの声もにぎやかで、会場の中でも一番活気がありました。次回のフカマルシェでもいかがですか?

 

今、巡回しているtupera tuperaの展覧会がもうすぐ福岡の久留米市美術館で開催されます。その展覧会を中心に、tupera tuperaがアートディレクションを担当した空間「カタチの森」がある劇場施設「シティプラザ」や、周辺のいろいろなお店で、tuperatuperaの絵本の世界をテーマにした企画を考え中です。tupera tupera をきっかけにして、行政と街と人が繋がり、面白い「場」が生まれたらいいなと期待しています!

 

開催が夏休み中なので、家族で行く予定でいろいろ新しい出会いもありそうで楽しみにしているのですが、体力がもつかが心配……(笑)。最近、家でも出かけた先でも、小学生男子になってわざと悪ふざけをする弟と、思春期に入りイライラする姉の衝突が絶えません。その度に泣いたり怒ったりを繰り返し、(本人たちは引きずらないので、すぐにケロっとしてますが)親の私たちはそれに振り回されて、クタクタになる毎日です。でも先日、修学旅行でお姉ちゃんが家にいなかったので、弟がここぞとばかりに羽根を伸ばすと思いきや「さみしいな〜。なんか家が静かだな〜」と、何度もつぶやいておりました。

 

セキさん家族は、夏休みは北海道でしょうか? それとも、どこか旅の予定がありますか? 子連れ旅は荷物も増えるし、もう家を出るところから既にドタバタしてしまいます。セキさんは旅慣れている印象がありますが、荷造りは上手ですか? コツがあれば教えてほしいです。あとは、移動中に子どもたちを飽きさせない工夫とか? 子育ては、常に体力勝負ですね。美味しいもの食べていっぱい寝て、夏を乗り切りましょう!

 

 

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次回更新は8/2(金)の予定です。salvia デザイナー セキユリヲさんからのお返事です。

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