MilK JAPONの連載「おこさま人生相談室」でもおなじみの小林エリカによる、美術館では初となる個展が軽井沢ニューアートミュージアムで開催されます。

タイトルの「トリニティ」は、本来「三位一体」、キリスト教で神の三つの側面を表わしますが、小林にとっては、世界で最初に原子力実験が行われた、アメリカのホワイトサンズ・ミサイル実験場の中にある場所の名でもあります。これまで小林は、その不可視性ゆえに放射性に興味を持ち、作品を制作。放射能の是否を問うことではなく、その歴史をふり返り、未来に生きる人たちが、今を生きる私たちをどう捉えるかに関心を抱いてきました。

さらに放射能は、私たちに生と死について考えさせます。過去の人間がもし違った選択をしていたら、私たちの現在の暮らしはどうなっていたのか。なぜ核爆弾は殺戮のために地上へ落とされ、なぜ今放射能に怯えながら生きなければならないのか。過去の歴史が変えられないなら、未来のために私たちは一体何ができるのか。小林エリカの軽井沢におけるこの示唆に富む展覧会は、私たちや、子どもたちの未来を考えてみるきっかけになるかもしれません。