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ブラックユーモアに満ちた衝撃作『トッド・ソロンズの子犬物語』生きることは残酷で、こんなにも愛おしい。
誰もが小さい頃、一度は「犬を飼いたい」「猫を飼いたい」と親に駄々をこねたことがあるはず。ふわふわした毛、やわらかな肉球、甘く切ない鳴き声。小さな動物たちと過ごす蜜月の時間を想像し、うっとりと夢見心地になった人も多いだろう。 しかし動物と過ごす時間は、それだけではない。自分自身の変化や、動物の変化。生身の生き物である動物と人間の間には、いつだっていろんなドラマがある。そんなことを痛感した映画が『トッド・ソロンズの子犬物語』だ。 物語は、一匹のダックスフントと4人の飼い主によって描かれている。 1人目の飼い主は、病弱な少年レミ。闘病生活を送るレミへのサプライズプレゼントとして送られたダックスフントは、レミに愛され、彼に人生の教訓を教えることになる。「なぜ犬は避妊手術をしなくてはならないか」「死を迎えること」、そして「犬には食べさせていけない食べ物があること」を。レミはうっかり朝食のグラノーラ・バーを犬に食べさせてしまい、ひん死の状態に陥ってしまう。 2人目の飼い主が、獣医助手のドーン。安楽死をさせようと獣医に持ち込まれたダックスフントは、ドーンの善意によって命を救われる。ドーンの地味な生活は、犬の登場によって小さな変化を起こす。ドッグフードを買いに行った雑貨店で元クラスメートのブランドンに再会。ひょんなことから、彼の車旅行に同行することに。ダックスフントはそこで、ブランドンの兄夫婦の元へ渡る。