【LONDON/From SHIHO】ロンドン発シホのサスティナ ジャーナル Vol.5
こんにちは、シホです。
9月。夏は過ぎ行き、朝晩の冷え込みも日に日に増して来ました。一瞬、夏日に戻った日もありましたが、日中の風もすっかり冷たく、先日はついにニットに袖を通しました。いよいよ本格的に秋到来です。
こちらイギリスでは9月に入ったと同時に、以前程の厳しいルールではないもののスコットランドのロックダウンが決定、ロンドンでは部分的ロックダウンを続けつつ新しい年度が再開されました。
お隣に住む小学生のお子さんも「何時間も掛けて念入りに学校に行く準備をしたのに、登校前日にまたガイダンスが急に改正されてしまって、やり直し。お友達と会えるのは嬉しいけれど、ペンは学校から支給される物しか使っちゃダメだとか、スナックは持ってきてもいいけれどシェアしちゃダメだとか、新しいルールがいっぱいなの。ハァ………」と、困惑の様子。各自に割り当てられた10分間の時間枠で到着しなくてはならなく、どの親子も困惑気味の様子だとか……。第2回目のロックダウンの可能性もここにきて急上昇。まだまだ油断できない毎日ですが、これまでの日常とは違うこと理解して、引き続きマスクに手洗い&うがい対策をし、“with コロナ”の暮らしを続けて行く他なさそうです。
“withコロナ”と言いながら、私の8月後半はと言えばロックダウン疲れなのか無意識にストレスを感じていたのか……疲れがどっと押し寄せて、毎日作るごはんのメニューすら浮かばない始末。夏の間も思うような外出ができず、予想以上にフラストレーションが自分の中でもたまっていたようです。
でも、そんな時こそ積極的に深呼吸をして、思考をシンプルに。まずは今できる目の前のこととまっすぐに取り組む時間に充てようと、娘との遊び方に思いを馳せることが多くなりました。
身体的にも精神的にもぐんぐんと成長を続ける娘に、たくさんの体験をさせて脳にも栄養を与え続けねば!ということで、子供との様々な遊びの中でも、最近は特に自然とふれあうことと、自然の中の物を取り入れる遊びに凝っています。
庭いじり、散歩で何度も通った自然公園の中の草木を眺めること、池にいるカモや白鳥の親子に餌をあげること……。どれもロックダウン疲れの心を癒してくれます。
自然の物を取り入れる遊びでは、いろいろなウェブサイトやインスタグラムのアカウント、本などを参考にして頭をひねる毎日ですが、中でも最近のお気に入りは、ロックダウン前に買っておいたこちらの本。『The Nature of Play/A Fanny & Alexander book』。
娘よりも私の方がハマり出してしまっていますが、本の内容は“四季を感じること”に焦点を当て、季節ごとに
- EAT – おすすめの食べ物
- DO – おすすめの遊び
- LOOK – おすすめの観察
- READ – おすすめの本
が箇条書きで紹介されています。その他にも、それぞれの季節に沿ったポエムやレシピと、アクティビティや遊びがイラストや作り方の解説付きで掲載されています。温かいタッチのイラストと共に紹介されているので、パラパラとめくって眺めているだけでも癒されます。
ロンドンは、世界の首都の中でもずば抜けて「緑」(公園、自然公園、緑地など)が多く、2019年には更なる緑化を目指し、世界初の「国立公園都市」になりました。幸せなことに、私たちの住むエリアはロンドンのはずれということもあり、中心地よりもさらに多くの自然に囲まれているので、材料はふんだんに手に入ります。
吹く風に秋を感じる9月最初の週末、娘の大親友のZちゃん一家が遊びにきてくれるということで、私たちのお気に入りの自然公園へとピクニックに行き、材料を集めてみました。
イギリスの公園に出かけるとよく見かける大きな木も、どんぐりや栗の木くらいまでは分かるけれど、この、トゲトゲの実がついた巨木は、なんだろう……? 日本育ちの私には見慣れない木がたくさん。
そんな時の頼もしい味方、『TREES』。 1914年に発刊された『A Ladybird Book』の中の1冊で、私の夫も幼少期にたくさんお世話になった子供向けの絵本シリーズです。物語だけでなく、『TREES』のような学習向けの題材も扱い、イギリスでいまもなお愛され続ける、人気の絵本シリーズです。中でもヴィンテージ版はコレクターズアイテムとなっており、よく古本屋さんやアンティークマーケットで見かけます。あいにくとヴィンテージ版はほとんどが廃刊となっており、現在はモダンなイラストで発刊されているのですが、私はレトロな方のイラストが好みだったので、こちらのヴィンテージタイプを購入しました。
こちらはロンドンの西側にある王立植物園のKew Gardensとコラボレートしたスペシャルエディションで、『TREES』と『GARDEN FLOWERS』の計2冊が、昔ながらのレトロなイラストのヴィンテージ版で購入することができます。
本の中身はというと、イギリスの公園や自然の中で身近に見られる46種類の木が紹介されています。各ページに文章の解説と、それぞれの木の全体像、花や実の部分のクローズアップのリアルなイラストレーションが載っているので、実物の木を見ながら本と見比べ、子供と楽しんでいます。大きくなったら、説明文章も理解してくれたらいいな。
この日のZちゃんとのデートでも、この『TREES』が大活躍。美味しい空気を吸いながら木々を眺め、帰路につきました。
我が家に戻り、さっそく大自然の恩恵である葉っぱなどを使って、こんな物を作ってみました。
やはり現代っ子。分かりやすい“キラキラしたもの”でもなければピンクなどのビビッドな色でもないので、娘の反応は、やや鈍め。それでも一生懸命拾ったどんぐりにはなぜか大執着! 袋に入れてお金として使ったり、お鍋に入れて食べ物として使ったり……母のエゴの詰まった押しつけの遊び方よりも、子供の方が自然とのふれあい方をよく分かっているのかもしれないな、と、子供にひとつ教わったような気がしたひとときでした。
これから秋が深まっていった後に、さらに色づいた葉っぱや茶色くなったどんぐりで遊べる日が楽しみです。
それでは今回はこの辺で。
シホ