DATE 2018.05.11

〈tupera tupera〉がパリを街歩き。子ども向け美術館訪問や絵本作家との交流

毎年開催される絵本フェスティバル「児童図書サロン」のため、パリに訪れた〈tupera tupera〉の亀山さん。美術館訪問や絵本作家との交流の様子をレポート。

サロンでのイベントのない日には、街歩き。美術館を訪れたり、絵本作家との交流もありました。「ポンピドゥー・センター(国立芸術文化センター)」は近現代美術のコレクションで知られていますが、子どもたちのためのプログラムも盛んです。中2階にある「Children’s Gallery」では、現代のアーティストやクリエイターがデザインした展覧会を開催。 地下には幼年から参加できるワークショップスペースもあり、施設の充実度とデザイン性の高さに亀山さんは驚きの様子。

カモフラージュをテーマにしている中国のアーティスト リウ・ボーリンの展示。衣装や布を使って、会場風景に同化して姿を消すことができます。「会場を構成するものたちが計算され尽くしていてクオリティが高くて、びっくりしました」。(©Centre Pompidou)
ティーンエイジャー向けのワークショップルーム「Studio 13/16」で、子ども向けプログラムのスタッフと。訪れた時は 80年代のディスコを彷彿させるだまし絵のセットがありました。ダンスや DJなども行われるそう。ほかにも 2〜10歳向けのスペースも。(©Centre Pompidou)

次に訪れたのは、チルドレンミュージアム「Le Musée en Herbe」。ゲームのようにキャラクターなどをピクセル化して、世界中の国に設置している、フランスの作家〈INVADER〉の展示『HELLO MY GAME IS …』が開催中。子どもたちも見学に訪れていました。同館ディレクターのシルヴィ・ジラルデさんは、以前から〈tupera tupera〉に興味をもっていたそう。直接絵本を見てもらいました。「アイデアが豊富ね! イマジネーションが豊かでアクティブで美しいわ。知り合えてよかった。ワークショップから何か一緒にできるといいわね」と嬉しい反応です。

ピクセルで作った白雪姫と7人の小人の前で、ディレクタ—のシルヴィ・ジラルデさんと、コーディネートしてくれた貴田奈津子さんと。
「キミのピクセルを貼ろう」と書かれた壁に、亀山さんも早速挑戦。 あっという間にパンダインベーダーができあがり。

パリでは作家との出会いもありました。アヌック・ボワロベールとルイ・リゴーの二人です。美しいイラストレーションと、しかけの素晴らしさで世界中の話題をよび、日本でも2冊の絵本が翻訳出版されています。亀山さんが今とても会いたかった作家です。「彼らの絵本『ナマケモノのいる森で』は、僕たちの最初の絵本『木がずらり』に近いものを感じるんです。それにコンビで作品を制作していることも同じだし」と、亀山さん。二人もパリで『かおノート』を知り、いいアイデアだと思っていたそう。

アヌックが主にイラストレーションを描き、ルイが仕掛けの構造を考えます。「テクニックが先行しないように、なるべくシンプルを心がけている」とルイ。「あまり加えすぎないように、ジャッジするのは私」とアヌック。「一緒だ!」と亀山さん。〈tupera tupera〉も最終ジャッジは中川さんが担うことが多いよう。いろいろな共通項を見つけたひと時で、日本でのワークショップや展示など、一緒にできないだろうかと、夢は膨らみます。

左からルイ・リゴー、アヌック・ボワロベール。お互いの絵本を紹介しあう。二人の前でも『やさいさん』をフランス語で披露し、楽しい時間に。
絵本『tip tap』にアヌックのサインをもらいました。
アヌック・ボワロベールとルイ・リゴーの新作『Popville』は、街ができていくようなポップアップ絵本です。

もう一人、亀山さんが興味をもっていたフランスの作家ブレックスボレックスさんにも短い時間ですが会う機会を得られました。シルクスクリーン印刷の職人をしていたという彼は、90年代に私家版の本をつくり始めました。ライプチヒのブックフェアで『PEOPLE(原題 Imagier des gens)』が、「最も美しい本」賞を受賞し、注目を集めています。今回の児童図書サロンでも新作絵本『Nos Vacances(私たちのバカンス)』が絵本部門の金賞を受賞しました。 「新作絵本から宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』を想起しました」と亀山さんが言うと「宮澤賢治は好きな作家。たくさん読んでいるよ」とブレックスボレックスさん。制作者同士だからこそ、分かり合える部分があるようです。

同じ姿勢でサインをし合う二人。「かっこいい作品をつくるブレックスボレックスさんにプレゼントしたのが『うんこしりとり』で、申し訳ないような面白いような」と亀山さん。

亀山さんの旅のアルバムから

「空港からパリ市内へ移動中の風景。郊外の建物の壁ですが、豹みたいな動物が 窓から入ろうとしているのが面白くて、パリに来たなって思ったんです」

「ルーブル美術館近くを散歩中に出会った壁面。古い挿絵のような絵に惹かれました」

「児童図書サロンの隣りの空き地に残された鉄工所跡。夕暮れで浮き立つシルエットがカッコいい」

「絵本専門店『Chantelivre (シャントリーヴル)』を訪れました。翻訳版が海外の書店に置かれているのを自分の目で見るのは初めて。おおおー『しろくまのパンツ』がありました」

「『Le Musée en Herbe』のミュージアムショップには、『あかちゃん』がありました。うれしいな」

「一番好きな『オルセー美術館』。元は駅舎だったそう。展示室の壁が濃い色だったり、絵の前にアンティークの椅子が展示してあったり。展示方法がスタイリッシュで素敵です。必ず見るのがルソー(写真左)。なぜだかルソーのサインが好きなんです。 シンメトリーで巨大なビニールハウスみたいな建物の吹き抜けのフロアは、みなさん階段に座っておしゃべりしたり、休憩したりと思い思いに過ごしていて、そんな雰囲気も居心地がいいのです(写真中)。 フランソワ・ポンポンの作品の『しろくま』。赤いパンツをはかせたいな(写真右)」

旅を終えてパリの印象はどうだったでしょうか?

「15年ぶりのパリは、町並みが変わってないなあと思いました。僕が今住んでいる京都も、大型施設はあるけれども、町の雰囲気はあまり変わらない。パリと京都は似ているとよく言われますよね。新しいものはできても、町のイメージがゆるがないのがいいと思います。石の建物や石畳が好きで、友だちの肩を叩くように、ついつい石の壁を叩いちゃうんです。重厚感が好きなんです。変かな?」

 

世界中に素敵な作品を届ける〈tupera tupera〉の活躍に、今後も目が離せません。

 

>>第1回目の記事はこちらから

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第1回:多様な生き方、暮らし方
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第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

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