DATE 2020.09.29

そんなふう 69

先週の土日は東京に家族で一泊した。コロナの影響で今年の2月からは仕事が重なってひとりで泊まることはあっても、夫と娘は千葉でずっと過ごしていたから3人で東京の部屋で過ごすのは久しぶりのことだった。娘にきょうは東京に泊まるよ、と言ったら、まえにドキンちゃんのパジャマ着て夜に行ったことあったよね、と言うので驚いた。ドキンちゃんのパジャマを着ていたのは娘が1年半〜2年前のことで、たしかにお風呂に入れてからパジャマで東京に連れて行ったことがあった。それをしっかり覚えていたのだった。しかもパジャマの柄まで。去年の夏は水玉模様のボタンつきパジャマを猛烈に気に入っていたのだが、今年の夏に新しいパジャマを下ろしたら、あのみずたまのボタンのやつは?と聞いてきたこともあった。もう小さくなったから着られないよ、というと少し寂しそうにするので毛玉だらけのそれをまだ捨てられない。着用できなくなった服は季節が変わるたびに増えるので、あまりくたびれてないものはできるだけすぐに娘よりも小さなお子さんがいる親戚や友人に引き取ってもらうようにするのだが、自分が気に入っていたものは記念に少しとってある。水玉のパジャマは随分くたびれているけど、やはり残しておこうかなと思い、捨てるために除けておいたが保管用の箱に移そうと思った。自分も幼いころに当時子どもに人気があった魔女っ子メグちゃんのイラストがついたシャツが着られなくなったことがとても悲しかったことをいまでも覚えている。着られなくなったのになんとかして着ようとして、もうやめとき、と母に言われたことも。思えばその頃から自分が着る服に興味を持ち始めたのだろう。そう考えると娘は自分よりも少し早い時期から自分の着る服を選ぶようになった。3歳になってすぐくらいの頃から自分が用意した服をこれじゃない!と言うことが増えた。そうなるといくらその服を勧めても着てくれないので、引き出しを開けてどれにするか一緒に選ぶ。先月も実家に帰ったときに母がつくってくれたワンピースを着て欲しかったのだが、それじゃない!と言い出したので、これはおばあちゃんがつくってくれたやつだから、着て見せてあげたら喜ぶよ!少しだけ着て、あとで着替えてもいいからね、ありがとうって言ってみようか、と言うとそれでもいやがる。仕方がないのでその日は違う服を着た。翌朝、昨日着なかったワンピースを持ってきて、これにする、と言ったので1日経ってわかってくれたのかと嬉しくなり、着せると母におばあちゃんミテーとその姿を台所にいる母に見せにいった。おばあちゃん、ありがとう!と言ってからすぐに横の部屋に戻り、違う服に着替えようとする。たしかに昨日すぐ着替えてもいいから、とは言ったけど、そんなことまで覚えてなくていいよ、そのまま着てなよ!と言ってもイヤだー着替える!と言ってさっさと着替えてしまった。彼女なりに昨日言われたことを思い出し、おばあちゃんにお礼を言おう、着たら喜ぶと言われたからそれでいいと思ったようだった。手作りの服が嬉しい、と思う気持ちはいつか芽生えるのだろうか。

 

また衣替えの季節になった。あまり着てくれなかったこのワンピース、まだ大きめだから来年はたくさん着てくれたらいいなと思いながらクローゼットの中身を入れ替えた。

BACKNUMBER 川内倫子 そんなふう
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第1回:多様な生き方、暮らし方
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第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

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