そんなふう 48
寒暖を繰り返しながら春の訪れを感じる日曜日、自宅でゆっくり過ごすことにした。数日外食が続いたので、いつもよりも少しだけ丁寧に昼食をこしらえ、テラスで川の音を聴きながら食べる。独活のパスタとじゃがいものグラタンを作ったら、いかにも白ワインに合いそうであった。一杯だけ飲もうかなと思ったら、ネットで安く購入したワインが思いの外美味しくて、結局二人でボトルを開けてしまった。そのせいだろうか、昼食後にソファに座って本を読んでいたら、だんだん眠くなってきてうとうとしていると、娘がどこかからストールを持ってきて膝の上にかけてくれ、頭を撫でて頰にキスしてくれた。そして空のペットボトルを持ってきて、私の口元に飲み口を近づけ、はい、これのんで、よくなるからね、と病人扱い。自分が熱を出したときに私がすることを真似たのだろう。まったく具合は悪くないのだが、ありがたく病人のふりをしていると納得した様子で今度はテラスに寝転んでいる夫の方へ行き、おもちゃの果物を渡している。甲斐甲斐しく世話をしてくれる様を見ていると、この数年が驚くべき早さで過ぎたことを実感し、眠い目で見える景色は夢のようだった。