そんなふう 31
先月イタリアで3つの展示があり、2週間滞在した。それぞれ別の場所だったが、3つともミラノ在住の親友は週末ごとに来てくれて、一緒に楽しく過ごした。滞在中、彼女の娘の8歳になる櫻ちゃんはずっとうちの娘の面倒をみてくれて、とても助かったし、娘もよくなついて彼女のあとをついて回った。
親友とは10年以上のつきあいで、お互いが独身の頃には毎週末彼女がうちに泊まりに来たり、平日は自分が当時彼女の営んでいたバーに飲みに行ったりして、ある時期を長い時間一緒に過ごしていた。彼女が結婚してイタリアに移住してからも、ヨーロッパへ仕事に行くたびに仕事先に来てくれたり、仕事の合間や帰りに自分がイタリアに立ち寄ったり、彼女が帰国すると、必ずうちに泊まりに来たりして、途切れずに会っている。普段物理的には遠い場所に住んでいるけど、精神的な距離感はずっと変わらない関係だ。それはお互いの家族を持ってからも変わらない。正確にいうと出会ったころのような友達としての親密感よりも、もう少し家族感が増したような感じだ。娘同士が会うとくっついて離れないほど仲良くしている様子を見ると、昔住んでいた、東京のマンションの一室でふたりでゴロゴロ寝転びながらテレビを見てつっこんだり、だらだらお酒を飲みながら大笑いしたり、それぞれの悩んでいたことをつらつらと話しては泣いたりした日々を思い出し、当時の一人暮らしの部屋のリビングの上から俯瞰でふたりを眺めている気持ちになる。そして10年後くらいにこんなふうに娘たちが一緒に遊んでいるよ、それを眺めてふたりで半泣きになって喜んでいるよ、とあのときの自分たちに声をかけたくなるのだった。