そんなふう 20
9月、10月は例年よりも雨の日が長く続いて、うちの前の川も随分増水した。一晩中雨が降り続いた翌朝、いつものようにキッチンの窓から川を覗くと見たことのない水量にぞっとした。普段よりも4〜5mくらいは水かさが増している。このまま降り続いたら溢れてしまうかもしれない。溢れたとしてもうちはさらに高台にあるから家が流されるというような心配は現実的にはないかもしれないけど、それでも不安にかられた。激しい流れで地盤が緩んだりする可能性はあるからだ。
でも川沿いに住むってそういうことだよな、わかってはいたけど、、と思いながらも雨の激しさは増すばかり。なんだか目が離せなくなって、ごうごうと流れる川をしばらくずっと眺めていた。見ている間に川は溢れ出し始め、うちの斜面にまで水の流れが届きそうな勢いだ。はらはらしながら見ていたら、少し経つと落ち着いたようでそれ以上に溢れることはなかった。気疲れしながらも、そのあと仕事があったので東京に向かった。慣れ親しんだ、こじんまりとしたマンションの部屋に入るとなんだかホッとした。夫も同じ気持ちだったようで、なんかこの狭さが落ち着くなあ、とつぶやいていた。とはいえ数日すると、また川のせせらぎと緑が恋しくなってくる。やっぱりしばらくはこの2拠点生活がほどよいのかもしれない。