追悼・和田誠さんの絵本【4歳〜向け】
谷川俊太郎さんとの代表作のひとつ『あな』。
『これは のみの ぴこ』『ともだち』『がいこつ』など、谷川俊太郎さんとのコンビでたくさんの絵本を生み出してきました。『あな』はその代表作のひとつ。日曜日の朝、何もすることがなかったので、ひろしは土に穴を掘り始めます。途中、おかあさんやいもうとのゆきこ、となりのしゅうじくんやおとうさんがやってきて、いろいろなことを言いますが、ひろしは、ただただ穴を掘ります…。まず、まん丸い穴のあるシンプルな表紙が目を引きます。絵本を読み進めるとそれが、たろうが見上げた穴からの景色だとわかります。縦開きで絵本を効果的に使い、穴を掘っていく時間の流れを的確に伝えます。シンプルですがとても考えさせられるストーリーはさすが。でも、無心で穴を掘ることに理由はいらないかもしれません。
猫の愛くるしい日常をそのままに描いた『ねこのシジミ』。
猫好きとして知られる和田誠さん。その愛情がひしひしと伝わる素朴な猫絵本です。主人公は“シジミ”と名付けられた猫。シジミは、赤ん坊のときに公園に捨てられていた捨て猫でした。ショウちゃんに拾われてお家にやってきました。飼い猫になったシジミはご飯を食べたり、外にでたくなるとドアをカリカリとしたり、好きなところで眠ったり…。銅版画で描かれたふんわりとやわらかな挿絵が魅力的です。今にも動き出しそうなリアルな猫の描写に、猫好きならずもメロメロになります。
“はんてん”探しの旅に出るひょうの話、『密林ーきれいなひょうの話』。
詩集『のはらうた』などの詩人・童話作家の工藤直子さんによるかわいらしい物語に、和田誠さんが描くユーモラスな動物たちが見事にマッチした一匹のひょうの冒険物語。密林に暮らすひょう。自慢はきれいな“はんてん”。「つやつや、ぴかぴか、すてきでしょう」と得意げです。ところが、「はあっくしょん!」とくしゃみをしたら、“はんてん”がなくなっちゃった!ひょうは、なくなった“はんてん”を探しに出かけることに…。なかなか、みつからない“はんてん”。でも、ひょうはあることを思いつきます。最後の場面、とっても幸せそうに、にっこり笑うひょうがなんともかわいいです。