DATE 2018.05.20

食べることを考える絵本

気になるテーマの絵本を3冊セレクトしてお届けする絵本ガイド。今回のテーマは「食べることを考える絵本」。すべての食べ物は「命」からできています。人が何かを食べる時、なにかの「命」をいただいている。そのことがどういうことなのか、子どもたちと一緒に考えてみませんか。
『いわしくん』 作/菅原たくや 文化出版局 本体1,262円(税別)

一匹の魚が捕まえられて夕食のおかずになるお話『いわしくん』。

主人公は日本の海で生まれた一匹のいわし。大海を泳いでいたところ、漁船に捕獲され、港に運ばれ、スーパーに並べられ、買われて、焼かれて、食べられる……。とてもシンプルに、ひと見開きずつの展開で一匹のいわしがどうやって食卓までやってくるのかが描かれています。そして、食べられたあとのいわしは、どうなるのか。いわしの肉は元気な男の子の体の一部となり、男の子と一緒にプールを泳ぎます。食べることは「命をいただくこと」そして「命をつなぐこと」。だけど、それを難しい言葉で説明するのではなく、プールでいきいきした表情で泳ぐ姿を通し、子どもたちの感覚に訴えかけることに成功しているとても面白い絵本です。文章も短く、読みやすいので3、4歳から小学校高学年までさまざまな読み方ができる1冊です。

『しんでくれた』 詩/谷川俊太郎 絵/塚本やすし 佼成出版社 本体1300円(税別)

「ぼく」が生きるために必要なこと『しんでくれた』。

谷川俊太郎さんの詩「しんでくれた」から生まれた絵本です。衝撃的なタイトルと表紙に描かれたハンバーグは一見なんのつながりもないようにみえます。しかし、扉を開くと現れるのは、真っ直ぐにこちらを見据えた1頭の「うし」。谷川さんの詩は語りかけます。「うし しんでくれた ぼくのために そいではんばーぐになった ありがとう うし」と。「しんでくれた」のは「うし」だけではありません。豚も鳥も魚も、みんな「ぼく」が食べるために「しんでくれてる」。でも、ぼくは誰かのためにしんでやることはできない。それなら「ぼく」は、どう感じて、どう食べて、どう生きるのか。塚本やすしさんによる絵は、とても暖かく、力強く、食べることの先にある大切なことを、強く生きる意味を、詩とともに教えてくれます。

 

『ごはんは おいしい』 文/ぱく・きょんみ 写真/鈴木理策 福音館書店 本体1600円(税別)

『ごはんは おいしい』。

日本人にとって欠かせない主食と言えば、お米です。この絵本では、そんなおいしいお米がどうやってつくられるのかを写真家・鈴木理策さんの美しい写真と詩人・ぱく きょんみさんの優しい詩を通して教えてくれます。おばあちゃんが教えてくれる、ごはんのおはなし。春に植えられた「あかちゃんいね」は、夏には「いちめんの あおい たんぼ」になり、秋にはおばあちゃんがわくわくした「いねかり」が、そして冬には「かたい つちに かえって」春を待ちます。1年をかけ、巡る季節をこえて生まれてくるお米の話を読んだあとに、ページいっぱいに広がるつやつやでほわほわのおいしそうなごはんの写真。大好きなごはん。季節を巡ってできたごはん。残さずちゃんと食べたいな。自然とそう思わせてくれる、素敵な1冊です。

 

LATEST POST 最新記事

第1回:多様な生き方、暮らし方
ARTICLES
第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

2022.11.17
エルゴベビーの抱っこひも「ADAPT」がリニューアル発売。アップデートした機能を解説
動物園、博物館、美術館…。9つの施設でシームレスにクリエイティブな体験ができる「Museum Start あいうえの」とは
圧倒的な高級感で魅了。黒川鞄工房の「シボ牛革」ランドセルシリーズに新色が登場【2023年ラン活NEWS】