キャンプのハードルを下げるひとてまアイデア【谷尻家流キャンプの準備・アイテム編】
キャンプブームの昨今。ファミリーにとって、キャンプは大自然の中でのびのびと楽しめる最高のレジャーだ。コロナ禍、人とのディスタンスが保てるところも良いし、テント張りや炊事を協力しあって家族みんなの距離もぐっと近づくはず。
けれど、初心者にとっては「何を持って行けばいいのか」「食事の支度が面倒」など不安なことも多いはず。そこで今回のNEW STANDARD通信では、毎週のようにキャンプに出かけている谷尻家のキャンプ術を実際のキャンプ写真とともに見せてもらった。頑張りすぎず、みんなでラクに楽しめるヒントがたくさん。
キャンプが好きになるまで
キャンプデビューは息子が3歳になった時。家の中だけ、近くの公園だけ、というのでは行動範囲が狭く感じ、広々とした大地を踏みしめる日常を提供してあげたくなったからでした。『よし、我が家の趣味はキャンプにしよう』と夫婦で話し合って、早速グッズを購入しました。はじめの頃は私が食事の支度の大半をやったりしていて、正直言ってしんどかったです。
それで率直に夫(建築家の谷尻誠さん)に「このままだと辛いかも」「今日行くのやめとこうかな、行ってもそこにいるだけ、ってなっちゃうかも」と伝えたら、「いいよ、座ってるだけでも」と言ってくれました。実際に料理や片付けも積極的にしてくれるように。段取りもどんどんうまくなっていって、役割分担もできるようになって、ラクになりましたね。そのうちに動き回る夫につられてか、キャンプ仲間の男性陣もどんどん手際がよくなってきて。今では、お父さんたちと子どもたちだけでキャンプに行くこともあります。
経験を重ねていくうちに私も要領をつかんできて、今ではキャンプに行くことに全くハードルを感じなくなりました。大事なのは事前の準備ですね。何度も行くにつれて我が家のキャンプに必要なものがわかってきたので、あらかじめそれを作っておき、車にすぐに積めるようにしておくんです。
そうすることで「あー荷造りしなきゃ」というプレッシャーから解放されます。夫もキャンプ関係のギアを集めるのが好きで、私もあれこれ持っていくので今は四輪駆動の車に乗っています。何家族かと一緒に行くことが多いのですが、車はさまざま。中にはセダンで来るお友だちもいます。
そんなわけで、今回は事前準備のアイテムやアイデアを一気にご紹介します。
【準備1 】キャンプの食に欠かせない、谷尻家の定番3メニュー
我が家のキャンプの定番は「フレッシュ野菜のピクルス」と「ポリポリきゅうり」そして「マスタードマリネ」の3品。これらの料理は、漬け込み液や和えだれを家で作る手間はあるものの、キャンプ場付近で買った野菜を漬けたり和えたりするだけですぐに完成するのが良いんです。
ピクルス液にきゅうりを漬ければ30分ほどでぽりぽりきゅうりはできあがり。キャンプだと、どうしてもお肉や炭水化物が中心のメニューが多くなるので、体が野菜を欲します。そんな時にピクルスやちょっとした箸休め的なものがあるだけで野菜不足も解消されておすすめです。野菜自体を加熱しないで作るので、手軽だしフレッシュな味わいを楽しめます。
【フレッシュ野菜のピクルス】
野菜を加熱しないので加熱で壊れてしまう野菜のビタミンが壊れずそのまま頂けるのがポイントです。黒胡椒やハーブなどを入れるレシピもありますが、一番シンプルな材料でつくるこれで充分美味しく出来ます。
〈ピクルス液〉
水 50〜100cc(100ccがおすすめ)
自然派ワイン(白でも赤でもオレンジでも)100cc
きび砂糖 50g(大さじ4と1/2)
自然塩 小さじ2
ローリエ 3枚
赤唐辛子 2本(半分にちぎってタネを取る)
りんご酢または酢 100cc
〈具材〉
ズッキーニ1本
赤パプリカ、黄パプリカ各1コ
セロリ、きゅうりなど
〈作り方〉
1.野菜を容器に合わせてカットする。
2.水から赤唐辛子までの材料を小鍋に入れて火にかけ、砂糖と塩が溶けたら火から下ろし、酢を加える。
3.ピクルス液を注ぎ入れて、2~3時間ほどおいたら完成!
〈コツとポイント〉
A)作って30分など、すぐに食べたい場合は水を40〜50ccで作る。翌日以降頂く際は水100ccで。
B)粒黒胡椒やローズマリーなどはお好みで
「ぽりぽりきゅうり」はお醤油をベースに黒酢少々と八角、生姜で作る調味だれで、お肉にもお魚にも、ご飯のお供にもばっちりです。詳しい分量は私のnoteでご紹介しています。
もう一つ、定番が「きのこのハニーマスタード和え」。こちらは拙書の「HITOTEMAのひとてま 第二幕」のp44に掲載されています「いかとしいたけのマスタード和え」のきのこのみを使用したバージョンで、これは事前に自宅で作って持っていきます。野菜ときのこがあれば、栄養バランスに安心できるうえに、ワインのお供にも好相性の一品です。
【準備2】ワインのセレクトは万全に
ワインは美味しいものを飲みたいので、前もって納得のいくものを買っておきます。泡からはじめて、白、オレンジ、赤とすすみます。ナチュラルワインを中心に。自然の中で飲むワインは最高ですよね。
【準備3】コーヒーはこだわりたい
朝、自然の中で飲むコーヒーは格別の美味しさ。少し手間ではありますがコーヒー豆とミルを持って行きます。大自然に囲まれながら豆を挽く時間は贅沢ですね。ポーレックスのハンディコーヒーミルは軽くて挽きやすいので重宝しています。ドリッパーはスノーピークのもので、キャンプを始めたころに買いました。折りたためてとても便利。やかんはコンパクトでケース付きなのが持ち運びに便利で気に入っています。「ノルディスクキャンプサプライ」という砧にあるショップで購入しました。コーヒー豆は、虎へび珈琲(奥)とリトルナップコーヒー(手前)、その他、蕪木さんのものなど、回によって様々です。
【準備4】ギア系は夫のセレクト
キャンプ周りのアイテム選びは、フード・ドリンク系やアロマなどは私、ギア系は夫が決めることが多いですね。このポータブルな焚き火台はムラコの「サテライトファイヤーベース」というプロダクト。コンパクトに収納できるうえに大きな薪を置くことができて本格的な焚き火を楽しめます。
【準備5】子どものおやつ
長時間車に乗っているので、子どもが飽きないために移動中のおやつはマストです。セレクトに対してはすごくストイックにしているわけではないけど、できる範囲で体に良いものを選んでいます。アーモンドフィッシュなどはスーパーでも手軽に手に入って、添加物などが入ってないのでよく買います。ドライいちじく、ドライ柿、ナツメチップスも子どものお気に入り。現地では途中のスーパーで氷を買ってかき氷をすると、子どもたちに大受けです。
【準備6】虫よけと虫刺され対策
このフマキラーの「ウルトラベープpro」をタープ内に置いておくと虫が来ないので、見た目は素敵とは言えないけれどすごく頼りになります。子供にはリストバンドになっている虫除けを着けて、自由に遊んでもOKなように。虫刺されは、蚊やブヨには泥が効くと聞いて、CLAYDやボディクレイの「ねんどのパック」など、もともと愛用していた泥パックを利用しています。蚊はレモングラスやミント、ユーカリなどの精油などを合わせて自分でつくることも多いですね。
それと、キャンプには白い服を選ぶことが多いんですが、実はこれも虫対策の意味もあるんです。虫は色がわからないので、彩度の濃い黒などをを着ると寄って来やすく、逆に白だと、虫が判別しづらいので狙われにくいそうです。
これで準備はOK!
後編はキャンプ場でのフードメニューや楽しみ方についてです。
お楽しみに。