男の子の育て方のコツって?
男の子の言葉の発達が「遅い」と言われるワケ
前回、女の子の方が男の子に比べ「脳梁」と呼ばれる左右の大脳をつなぐ線維の発達が早いとお伝えしました。その結果、女の子は言葉の習得が早いんですね。男の子の脳梁はゆっくり発達していくので、どうしても10歳くらいまで「言葉」のコミュニケーションが困難に感じる場面が多いと思います。
例えば5〜6歳の男の子に、「最近はもう会話がちゃんと成り立つから」と思って未来を予測するような抽象的なことを伝えても、伝わらない可能性が高いです。第1回でお話した、「知能」が身に付く10歳を過ぎた頃じゃないと、複雑な会話は難しいと思います。ですがそれは、脳梁の発達速度によるものなので心配しなくて大丈夫。もちろん個人差があるので発達が早い男の子もいるのですが、一般的には「男の子の脳梁の成長は遅いんだ」と思って、言葉の習得にものんびり向き合ってあげるのが良いでしょう。
とは言え、どうせ分からないからと、言葉のコミュニケーションを疎かにして良いわけではありません。「思考」と「言葉」を身につけ、「我慢」ができるようになる5〜9歳頃の男の子には、正確に伝わらなかったとしても、丁寧に言葉で説明することが必要です。この時期に言葉をたくさん聞いて「我慢」ができるようになったお子さんは、将来「忍耐」強い子どもへと成長しますよ。
男の子にとっての父親の存在
もし息子さんが命に関わるような危険な行為をしていて、止めさせたいのに言葉で伝わらない場合は、父親が注意するのが有効的です。男の子は基本的に、自分のやりたいことをしたいように行っています。やりたいことをストップする時があるとすれば、危機感を感じる時・それが嫌になった時(飽きた時)だけです。男の子は自分より強い存在には危機を感じて従う傾向があるので、息子さんにどうしても止めさせたい、注意したいことがあるなら父親に叱ってもらうと良いでしょう。
男の子は、母親が自分を無条件で愛していることを本能的に理解しているので、母親に怒られても全然怖くないんですね。ですが、父親は体格も大きいし力もある存在ですから、本気で怒られるとやっぱり怖いんです。そこで大事なことですが、男の子がいるご家庭では、母親は常に父親を褒めてください。男の子にとって、自分の大好きな母親が父親を褒めると、嫉妬もしますし尊敬できるようになります。ですが母親が父親を下げずむような態度を取っていると、男の子は父親を尊敬できなくなります。そうなると、父親が息子を注意したとしても心に響きません。体の線が細い、物腰の柔らかい雰囲気の男性でも、きちんと母親から尊敬されている父親というのは、息子にとっては自分よりも強い存在に映ります。
もちろん、さまざまな理由で父親がいない家庭もあると思います。その場合は、おじいちゃんや近所で仲のいいおじさんなど、身近にいる男性で問題ありません。息子さんが尊敬できる男性を見つけて、何かあった時に注意してもらうといいですね。
“努力した姿勢”を積極的に褒める
次に、男の子の褒め方についてお話ししましょう。男の子は、自ら望んで「努力する」「我慢して頑張る」というのが苦手な生き物です。なので、頑張らせる機会を親が作ってあげて、頑張った行為を目いっぱい褒めてあげると、自己肯定感が上がります。ここで重要なのは、「こんな問題が解けるなんて頭が良いね」「すごくいい絵だね」など、本人の才能や努力した内容を褒めるのではなく、「今日こんなに頑張ったんだね、偉いね」など、“努力した姿勢”を褒めてあげることです。
アーユルヴェーダの世界では、「男性は死ぬまでやり続ける」ことが大切だとされています。自分で自分を認めずに、目標に向かって突き進むことが生き方だとされているんですね。男性はもし途中で自分の才能を認めてしまうと(認められてしまうと)、そこで物事が完結してしまい、それ以上努力しなくなってしまうんです。
反対に“努力している姿勢”を褒めると、「自分の頑張りは正しいんだ。もっと前に進まなくちゃ!」と思えます。これは男性の基本的な本質なので、お子さんだけでなく夫に対しても有効な褒め方ですよ。仕事にしろ育児にしろ、夫が頑張っている姿勢を褒めると、夫はもっと頑張ろうと思えるはずです。
落ち込んでやる気が無くなっている時には、「○○ならできるよ、頑張れ!」と激励してください。もしここで「もう頑張らなくて良いよ」と言われると「そっか、自分はもう十分頑張ったんだな」と本人の中で終わらせてしまいます。もし息子さんに将来仕事で成功してほしい、いい男に育ってほしいと願っているなら、「最近頑張ってるね」「頑張ってる姿、かっこいいよ!」と褒めて、「頑張ることはいいことなんだ」と覚えさせることが大切です。
家族で向き合いたい、“男の子の性教育”
最後に、男の子の性教育として親御さんに知っていてほしいことがあります。男の子は中学生くらいになるとマスターベーションをするようになりますが、脳科学の世界では、過度な射精で性のエネルギーを使いすぎると、脳のエネルギーまで消費してしまい、脳の発達に悪影響を与えると言われています。今はネットの発達で、簡単に性の対象を得ることができますから、1日に複数回マスターベーションをしている男の子が実はかなりいます。
頻度が高いと脳に影響が出て、10歳以降のお子さんの発達で重要な、「知能」や「忍耐」の機能が育たなくなる恐れがあります。なので、マスターベーションの回数にはぜひ注意してあげてください。母親だと話ずらいテーマだと思うので、父親や、身近な男性に言ってもらうと良いと思います。こういった性教育は学校現場ではあまり指導しませんから、ぜひ親御さんが気にかけてあげてくださいね。