DATE 2020.07.24

【前編】withコロナ時代、心も身体も前向きに健やかでいるコツとは?

連載「Dr.蓮村の子育てQ&A」は今回でいよいよ最終回!新型コロナウイルスと共存していくという新しい時代を迎え、私たちはどうしたら心身ともに健やかに生きていけるのか。ポジティブなマインドのあり方を、Dr.蓮村が伝授します。
Photo by Danil Sorokin on Unsplash

Q. 緊急事態宣言の解除で経済活動が再開され、以前のような日常が戻りつつあると思います。不安にばかりなっていても仕方ないですし、コロナ渦でも前向きに生きたいと思うのですが、どうしても社会の暗いムードに飲み込まれて気持ちを切り替えられません。収束の兆しが見えず、経済的にも不安定な世の中で、どうすれば心身ともに前向きに健やかに生きられるでしょうか?

蓮村誠:コロナ時代の中で、どうすれば心も体も前向きに健やかに生きられるのか。まずはプロローグとして、「そもそもなぜ、前向きな気持ちになれないのか?」その理由をお伝えします。

いま社会に広がる、淀んだ空気の正体

大人も子どもも、いま多くの人が「この先の社会はどうなるのだろう?」と不安になっていると思います。そして同時に、「コロナ以前の、元の生活に戻りたい」と思っている人も多いでしょう。ですが、時間とは“過ぎていくもの”です。なので一つ心に留めて頂きたいのは、「これからの社会がコロナ以前の世界に戻ることは決してない」ということです。

 

もし皆さんが「以前の生活に戻りたい」と思っているのなら、それは時代に退行する考えです。ですがそういった退行した考え方が多くの人の間で広がり、いま社会全体の空気を重く淀ませています。相談者様のように前向きになろうとしている人も、もちろんたくさんいます。ですがそういう人たちも、退行した社会の空気感に押しつぶされて、前向きになれなくなっている。結果やる気が出ず、人によっては体が重い、頭が痛い、胸が苦しい、やたらと眠いなど、さまざまな症状を引き起こしていると思います。

Photo by Nik Shuliahin on Unsplash

受け身の生き方から脱却する

この世界には、現実と呼ばれる客観的な世界があります。その中で多くの人は、目の前の現実を受け止めて、自分ができることを選択しながら生きています。しかし置かれた環境の中で仕事をして、そこで稼いだお金で好きなものを買ったり食事を楽しむ生活というのは、「受け身」の生き方です。それは別の言い方をすると「消費」の生き方とも言えます。

 

コロナ以前から、受け身・消費の生活をしている人はたくさんいました。そしてその生き方に慣れていた中で新型コロナが流行し、今まで目の前にあったはずの現実が急に壊れ不安に陥っている。そのため多くの人が、「元の世界に戻りたい」と強く願っているのです。その退行する想いは、非常に鈍く重い質を持っています。アーユルヴェーダの世界では、人は心に3つの質を持っていると考えられています。成長を促す知識の質である「サットヴァ(純粋性)」、活動の質である「ラジャス(激性・活発性)」、同じ状態に留まろうとする停滞の質の「タマス(不活発性)」です。人それぞれ心の中でこの3つのバランスは異なりますが、「元の世界に戻りたい」と願うのは「タマス」の質が強くなっている証拠です。

Photo by Jed Villejo on Unsplash

本当に幸福を拡大させるために必要なこと

これまで多くの人が、受け身の人生の中で頑張って生きてきたと思います。ですがどんなに頑張っていても、受け身であり続ければ、その人は同じ場所に止まろうとする「タマス」の人生しか歩めません。受け身・消費の生き方というのは、創造的な生き方ではないのです。人が本当に幸福を拡大させて生きるならば、「創造して生きる」ことが何よりも大切です。「元の生活に戻りたい」「今ある状況を変えたくない」と退行した想いを持って生きていくと、普通に生活はできますが、本当の意味での幸福は持続しません。その幸せはいつかどこかで壊れてしまいます。

 

いま社会に広がる多くの人の退行した想いが、本当に創造的で幸福な人生を送りたいと願っている人の背中にも重くのしかかり、虚しくやるせない気持ちにさせています。何かを一生懸命やってうまくいかなくて悔しい思いをしたり、大切なものを失って悲しくなる、誰かに攻撃されて怒る、というのは心の正常な反応です。ですが心が虚しい、やるせない、自分は無力だと感じる、という感覚はとても危険でその人をダメにしてしまいます

Photo by freestocks on Unsplash

貴方の心が虚しさを感じているのなら、「自分の努力が足りないんじゃない」「自分だけが変なんじゃない」「集合的な虚無感に心が押しつぶされそうなだけ」だと理解してください。決して「自分はやる気のないダメな人間だ」なんて感じる必要はありません。重くて鈍い社会の雰囲気がそうさせているだけです。心の状態がなぜそうなっているのか、客観的に把握することが前向きに生きるための第一歩です。

 

その上で、創造的に生きるための実践的な方法を、次回お伝えしていきたいと思います。

 

LATEST POST 最新記事

第1回:多様な生き方、暮らし方
ARTICLES
第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

2022.11.17
エルゴベビーの抱っこひも「ADAPT」がリニューアル発売。アップデートした機能を解説
動物園、博物館、美術館…。9つの施設でシームレスにクリエイティブな体験ができる「Museum Start あいうえの」とは
圧倒的な高級感で魅了。黒川鞄工房の「シボ牛革」ランドセルシリーズに新色が登場【2023年ラン活NEWS】