ルールや枠組みを疑い、突破する。今こそ必要な「冒険力」がつく本3冊【Fasuオープンスクール課題図書案内】
「正解」のない子育てを一緒に考える場として誕生したFasuオープンスクール。第一回である「子どもにとっての環境って?」のトーク中に出てきた本や関連する本をご紹介。トークを観る前に読むもよし、読んでから観るもよし。より思考が自由になる本ばかりだ。
01.いくつやってみる? むしろ親が試されている、危険な体験が勢揃い
『子どもが体験するべき50の危険なこと』
「木に登ろう」といったかわいい(?)ものから「電子レンジに変なものを入れよう」といったギョッとするものまで、“危険”な体験が次から次へと提案される本書。著者ゲイバー・タリーが「TED2007」で行った「子どもにやらせるべき5つの危険なこと」と題した講演で、これがインターネット上に公開されるや否や大反響があったことがきっかけで書籍化に至ったのだという。
親というのものはとかく先回りして「危ないからやっちゃダメ」を連発してしまうものだが、それは果たして子どものための忠告なのかそれとも自分の安心のためなのか。
50項目もの危険なことを眺めていると、なんだかワクワクしてきて大人自身も試してみたくなる。危険なことやスリルを味わいたいという気持ちは人間に生来備わっているものなのだろう。
オープンスクールのトーク中、ミュージアムエデュケイターの会田大也さんは「今あるルールの外側を試すことの記憶が強く残っている」と語った。
ルールから外れて自分のリミットを超えたところに到達した喜びは、冒険したものにしかわからない。そして冒険には危険が伴うことも、体験して初めて実感できるものだ。未体験のことに身を投じる勇気は、クリエイティブや、イノベーションにも通じる。
ちなみにこの本、対象年齢は「9才から99才まで」とのこと。まずは大人から、危険を冒してみてはいかがだろう。
02. キャンプ人気の今こそ熟読したい、本気のアウトドア指南書
『冒険図鑑』
美学者の伊藤亜紗さんが子供の頃、熱心に読んでいたという『冒険図鑑』。近所の雑木林を遊び場にし、どこにどんな木があるのか熟知していた少女時代の伊藤さんはこの本を1ページ1ページ丹念に読み、全て実践してみようとしたという。
1985年に発行された本書は、野外で生活するために必要な500項目もの知識が詰め込まれている。野外で食事を作る方法やテントの貼り方、野宿の仕方などアウトドアの基本から、バードウォッチングや草花あそびなどの自然との触れ合い、そして怪我や事故についての対処法など、野外生活をさまざまな角度から解説してくれる。その切り口の面白さや丁寧な解説に加えて目を引くのが3000点にもなるイラストの数々。写真ではなく、絵という点が、よりイマジネーションを掻き立て「本物を見てみたい」という気持ちにさせる作用がある。
子どもから超ベテランまで、あらゆる人に向けたという本書。決して子ども扱いせず、本気で冒険のサポートをしようという作り手の思いこそが、このロングセラーの魅力だろう。
道具に使われていないか?改めて本当の自由とは何かを考える
『コンヴィヴィアリティのための道具』
現代の子育て環境に、テクノロジーの存在を切り離すことは難しい。スマホやゲーム、永遠に見ることができる配信コンテンツ……。
小学生のお子さんをもつTakramデザインエンジニアの緒方壽人さんも、同じ悩みを抱える一人。「スマホやデジタルゲームは、中毒になるように設計されている」と、そうしたものとの付き合い方には注意が必要だと指摘する。そんな緒方さんが、今回のオープンスクールの課題図書として挙げてくれたのが本書だ。
産業主義的な社会における“教育”に対して、疑問を呈したイヴァン・イリイチ。真の意味での自由で創造性のある社会のあり方を唱えたイリイチの代表作の一つである。
緒方さんはこう解説する。
「現代社会において、