DATE 2017.08.31

写真家・平野太呂さんと自然をめぐる写真教室『子どもたちが覗いた夏のページ』レポート

夏休み真っただ中の8月11日の山の日。すっかり緑が濃くなり、セミたちのにぎやかな声に包まれる公園に、子どもたちが集まりました。MilK JAPONが夏休み企画として開催した、写真家・平野太呂さんと行く、写真と自然のワークショップ『子どもたちが覗いた夏のページ』です。チェキを片手に飛び出した子どもたちには、どんな自然が見えたのでしょうか?当日の様子をレポートします!

写真家の平野太呂さんが先生役となって、子どもたちが自然をテーマに写真体験をする今回のワークショップ。撮影に出かけるのは、都内の自然豊かな公園として知られる「井の頭公園」です。イベント当日、公園からほど近い場所に位置する「パタゴニア吉祥寺店」に続々と集まった子どもたち。平野先生とご挨拶したのち、早速公園へと出発です!

10分ほど歩いていくと、都会の中にある公園とは思えないほど、自然豊かな井の頭公園に到着しました。

はじめに、自然について少しお勉強。自然科学のスペシャリスト集団「ネイチャー&サイエンス」の高野丈さんによる、五感を使った自然観察ツアーのスタートです。

普段何気なく通り過ごしてしまっている自然。でも、よく観察してみると様々な発見が散りばめられています。「みんなこの落ち葉を拾って、手で揉んで匂いを嗅いでごらん?」。高野さんのお話に興味津々な子どもたち。「いい匂いがする!甘い香り!」子どもたちから素直な反応が溢れます。

高野さんの案内のもと、子どもたちは自然に実際に触れて、今まで気がつかなかった視点や感触を掴んでいきます。

次はいよいよ平野先生による撮影体験へ。今回、撮影用に子ども達に手渡されたのは、撮った写真をその場でアウトプットできるチェキ。まずは、平野先生からチェキの使い方のレクチャーを受けます。

初めてチェキを手にする子も多かったようで、シャッターを切った途端、出てくる写真に驚く場面も。子どもたちは目を輝かせながら、浮かび上がってくる画を食い入るように見つめます。

「自分が自然だと思うもの、綺麗だなと感じるものを見つけて、自由に写真に撮ってきてください。でも、撮れる枚数は限られているので、写真の撮り方にもこだわって、大切に撮ってくださいね」と平野先生。いよいよ子どもたちだけでの撮影がスタートです!

自分の感性のおもむくまま、まるで昆虫や植物を採集をするかのように夢中で駆け回る子どもたち。「鳥の鳴き声がする!」「ちっちゃいキノコ見つけた!」大人がなかなか気づかないようなことも次々と発見していきます。高野さんによる五感を使った自然観察ツアーの経験もすぐに活かしているようです。

チェキは、実際に撮ってみて、フィルムが出てきてからでないとどんな写真が撮れているか分かりません。「先生、ぼやけちゃってうまく撮れない」そんな子どもたちの相談にも平野先生がすぐにアドバイス。「撮りたいものに近づきすぎると、ピントがぼけちゃうことがあるから気をつけて」。

最初は何を撮ろうか悩んでいた子どもたちですが、終盤にもなるとチェキの使い方もお手の物。「この葉っぱの影が綺麗だったから撮ったんだよ!」自分なりのこだわりをここぞとばかりに教えてくれる子や、「もう終わっちゃった。もっと撮りたい」なんて言っている子も。ふだん身近にあるスマートフォンやデジカメでは体験できない、アナログのカメラならではの写真体験ができたことでしょう。

 

 

公園での撮影を終え、パタゴニア吉祥寺店に帰ってきた子どもたち。次は撮った写真を使って自分だけの写真集を作ります。子どもたちに用意されたのは何も書かれていない真っ白な写真集。どんな配置にするのか、どの写真を何ページ目に乗せるのか、写真集の構成も考えてもらいました。平野さんもテーブルをまわって、子どもたちにアドバイスをします。

真剣な表情で黙々と作業を続けていく子どもたち。「この写真は他の写真と混ぜないで、最後のページに1枚だけで貼るの」。写真集にすることで、写っている画の見え方も変わっていきます。

紙にびっしりと写真を貼る子、丁寧にページ構成を考えながら貼っていく子など様々。あっという間に個性豊かなオリジナルの写真集が完成しました。自分で写真を撮影し、本にまでした子どもたちの表情はとても誇らしげです。

今回、先生役を務めていただいた写真家の平野太呂さんですが、このような子ども向けのワークショップをするのは初めてだったそう。

 

「チェキを使うことや、撮影自体に慣れていない子も多かったと思うのですが、少しアドバイスしただけでみるみる吸収して、自分のものにしていく子どもたちの姿には驚かされました。公園に出かけて、最初は緊張して親御さんにくっついていた子も、最後にはすすんで自分で撮影をしていて。撮影することを純粋に楽しんでくれたみたいで嬉しかったですね。写真集作りでは、みんな自分なりのこだわりをもっていて、チェキの独特なトーンで、全体のまとまり感もありつつ、出来上がりにそれぞれの個性が出ましたね。子どもたちと一緒に写真を楽しむことで、僕自身も刺激を受ける時間になりました」と平野さん。

普段なかなか自然に触れる機会が減ってきている今の子どもたち。参加した子の親御さんからも「自分の子どもがすすんで落ち葉や石を拾い上げている姿が新鮮だった。身近にこんなに豊かな自然があることに早く気がつけばよかった」という声も。

今回のワークショップでは、写真をきっかけに子どもたちが自らすすんで、自然に触れている姿が印象的でした。汚れることも気にせず、感情のおもむくままに楽しんだ自然との触れ合いは、きっと子どもたちの記憶に残り、未来に活きる豊かな感性を育んでくれるはずです。

LATEST POST 最新記事

第1回:多様な生き方、暮らし方
ARTICLES
第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

2022.11.17
エルゴベビーの抱っこひも「ADAPT」がリニューアル発売。アップデートした機能を解説
動物園、博物館、美術館…。9つの施設でシームレスにクリエイティブな体験ができる「Museum Start あいうえの」とは
圧倒的な高級感で魅了。黒川鞄工房の「シボ牛革」ランドセルシリーズに新色が登場【2023年ラン活NEWS】