子どものアートの見方が変わる!?アート評論家・布施英利さんによる子ども向け特別授業『色彩のなぜを学び、アートの感性を磨こう』をレポート!
現在MilK JAPON WEBで、アートと子育てを巡るヨーロッパ紀行を連載中のアートの評論家、解剖学者の布施英利さん。息子さんと旅したヨーロッパでのアート体験を通して、つい子どもに教えたくなるようなプロによるアートの読み解き方、独自の子育て論をお届けしています。
今回のワークショップ『色彩のなぜを学び、アートの感性を磨こう』では、布施英利さんが先生役となって、子どもたちと「色」をテーマに特別授業を行いました。
会場となる「SLOW HOUSE」に続々と集まった子どもたち。まずはウォーミングアップとして色彩の不思議を体験します。配布されたのは片面に赤色の四角形が描かれた紙。その四角をずっと見つめて……
くるっと反対に向けると、「あ!緑色の四角が見える!」子どもたちの目が輝きます。「でもどうして緑色なんだろう?」色に対する興味が出てきたようです。
次はいよいよ実践授業です。1人ずつ配られたのは赤、黄、青の3色の絵の具。東京芸大・大学院生の布施さんの息子・琳太郎さんのお手本の元、自分たちで色の仕組みを見つけていこう!
布施さんの指導のもと、どんどん色を作っていく子どもたち。「赤、黄、青の3色だけでも無限の数の色ができてしまうんだよ。」その言葉通り、わずかな配合の違いで完成する色は様々。子どもたちの作る色にも個性が出ています。
実践的に色と向きあった子どもたち。似ている色同士をつなげて、虹と同じように色相をわっか状に並べる「色相環」もお手の物です。
「1番離れた場所にある色同士は補色の関係と言って、2色は隣り合うことで、より生き生きと鮮やかに見えるんだ。この色の並べ方を見て、最初に体験した赤色の四角を見つめた後に何もないところでは、緑の色に見えた不思議、なんとなく仕組みがわかってきたかな?」
今回のワークショップでは、子どもたちが自ら色の仕組みを考え、失敗しながらも理想の色を作り上げようと奮闘する姿が印象的でした。
私たちが普段何気なく過ごしている日常にも様々な色が溢れています。今回色の不思議や仕組みに触れたことで、日常の風景も少し違って見えるのではないでしょうか。参加した子の親御さんからも「普段家で使うのは色鉛筆やペンばかりで、なかなか絵の具に触れさせる機会はなかったけれど、楽しそうに色を作っている姿を見てもっと使わせてあげたいと思った」という声も。
子どもたちは少しのきっかけを与えるだけで、私たちの想像をはるかに超える表現をしてくれるものです。その柔軟で自由な発想こそが、未来の素晴らしいアーティストを生み出すきっかけになるのかもしれません。