DATE 2019.03.22
絵本の力で食事をもっと楽しく― 遊びから始める、楽しい食育:第3回
子どもに食に興味を持ってもらいたいなら、記憶に鮮烈に残る、「おいしそうな本」を読み聞かせるのも有効です。読むだけでおなかがすいてくる絵本を紹介します。
先に紹介した「食育すごろく」や「食べものしりとり」などのように参加型のゲームで食に興味を持たせるほかに、食をテーマにした絵本を読み聞かせて、物語の世界から食育へアプローチする方法もあります。
絵本の読み聞かせは、食育だけでなくさまざまな効果があるとされています。食育のテーマからは少し離れてしまいますが、明治大学文学部の齋藤孝教授によると、絵本の読み聞かせは「何より親子のコミュニケーションをスムーズにする」そう。「親と子の間に絵本があることで、距離がぐっと縮まって会話のやりとりが生まれる。子どもは絵本で感じたことを伝えたい、という気持ちを強くしていき、他者と気持ちを分かち合うことができるようになる」としています。
コミュニケーション能力は、今の時代を生きぬくためにとても大切な力です。人の気持ちが分かる、自分の気持ちを上手に伝えられる、それだけで子どもはより生きやすくなります。自分や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする力は「EQ」と言われ、教育現場で注目されています。
物語の世界を楽しみながら、自然と食に興味を持ってもらいたいなら、食をテーマにした読み聞かせる絵本を選ぶ際に一番気をつけてほしいのは、食べる楽しみが伝わるかどうか、つまり「おいしそうな本」かということ。残さず毎日食べてほしいからと、あまりごはんを食べない主人公が鬼に怒られる話や、好き嫌いをなくすための教訓めいた話はなるべく避けるのがベターです。
絵本を読み聞かせる目的はまず、食へ関心を持ってもらうこと。子どもにこの絵本はおもしろいと思ってもらうことから始めましょう。まずはじめは、料理が出来上がっていく工程をおいしそうな絵で紹介する本や、前述の「食べものしりとり」のように言葉遊びできるようなものがおすすめです。