サステナブルコスメからSDGsの最新を学ぶ 9月
私たちの心地よい生活のために欠かせないビューティアイテム。至高のラグジュアリーを目指し科学とセンスを競いながら生み出されるハイテクノロジーな一品から、素材そのものを肌に塗るオーガニックでミニマルなアイテムまで、世界中の人々が日常的に消費するコスメティックは巨大な市場を生み、同時にその製造から廃棄に至る環境へのインパクトも膨張した。今や、製造、流通におけるCO2排出削減やプラスティック問題、原材料の調達にまつわる持続可能性をどう実現するかは、多くのビューティブランドの日常的な課題となっている。では、私たちはどんなアクションを起こすべきだろう? 例えばそんなプロダクトを日常空間に置くことは、家族や友人、子供達にSDGsについて語るきっかけにもなるだろうし、何より、きちんと考えられた製品をつかってきれいになることは、とても気分のいいものだ。今回はさまざまな取り組みをする5つののブランドをラインナップ。サステナブルな製品を使うことは、罪悪感を減らす一時的なものではなく、未来へ続く持続可能な世界への肯定でもある。まずは小さな一歩から始めていきたい。
01. 「ラ・ブーシュ・ルージュ」 リップスティック1本が語る持続可能なラグジュアリー
マイクロプラスティックを製造から販売まで排除し、その美しく、質の高いベジタブルタンニンレザーで仕上げたエレガントなケース、繰り返し使えるメタル製を採用したリップスティックのリフィルなど、2017年にパリで創業された「ラ・ブーシュ・ルージュ」は、サステナブルな思想と理想を行動で示す、まさに新時代のクリエイティビティを貫いたビューティブランド。スムースな塗り心地と持続性の高い豊かな発色をもった口紅は、唇を彩るのみに終わらず、一本の販売ごとに100リットルの飲料水を寄付、2019年には、西アフリカのトーゴの村に井戸を竣工。製造過程でかかる環境負荷にコミットし、さらには、コスメ製品の認可に動物実験が義務化されている中国には出荷を行わないなど、知ること、買うこと、使うこと自体がサステナブルなラグジュアリー体験になることが嬉しい。
02.「ミラー・ハリス」 サスティナブルな未来のためのバス&ボディコレクション
自然を愛し、革新的でありながらクラシカルな上質さが投影された香りのコレクションを発表するイギリスのメゾンフレグランスブランド、「ミラー・ハリス」。3年前からイギリスの店舗でフレグランスボトルのリサイクルを導入、オフィスで働く全員にリユースできるウォーターボトルを配布することに始まり、このバス&ボディコレクションのリニューアルにかけた2年間に、すべてのサプライチェーンで持続可能な原料が組み込まれることを選択。パッケージ、使用後の容器のリサイクル率を高めるなど、現時点で可能な限り、より環境に優しい手法を開拓した。色とりどりの花屋の店先に立ったかのようなみずみずしい香りはそのまま、ハンドクリームのチューブのアルミニウムは製造に必要なエネルギーの95%を節約しリサイクルまたはリユース可能。洗浄剤にココナッツ抽出物や英国栽培の菜種油を取り入れたソープ。ヘアミストはリサイクルできるガラスボトルを採用……などなど、バスルームの未来を心地よい香りで包んでくれる。
03. 「雪肌精」 35周年を迎えて環境に左右されない透明素肌を目指す
世代も国境も超えて35年もの間愛され続ける「雪肌精」がリニューアルし、地球環境へのアクションも示した「雪肌精 クリアウェルネス」へと生まれ変わった。もともと雪肌精は、20
04. 「オーセンティック ビューティ コンセプト」 品質にこだわるドイツ発・プレミアムヴィーガンヘアケア
自然のパワーとサイエンスを生かし、ベルリン、NYなどのヘアスタイリストたちの意見も取り入れ、ナチュラルでいることの美しさを享受しようと願うヘアケアブランド。そのサステナブルサイクルであることを基準とする原材料選びは、透明性の高いバリューチェーンから(労働環境や金銭面においても豊かさを目指す制度に加入するインドの生産者による生産)。硫酸塩、パラベン、シリコン、鉱物油、人工色素を排除しもちろん動物実験もNG。原材料に採用したグアーマメ(インド産)やアビシニアンオイル(アフリカ産)は、使用により多くの女性の労働者の雇用を守り、畑の荒廃を防ぐ。また畑を耕して得る材料の使用は畑が痩せるので使用せず、木の実や葉からできる素材を使用。さらに踏み込んだ材料調達を行っているのが特徴。100%リサイクルガラスを使用したヘアオイル(右)はサラサラのライトな質感へ。ブルーのボトルはドライヘア用、イエローはダメージヘア用、ピンクはカラーヘア用のインバスケアで、その人本来の髪質がランクアップしていく濃厚な処方になっている。
05.「バウム」 樹木の恵みを循環させる新ビューティブランド
樹木がその年輪を刻むように、美しく積み重なる価値を軸に、樹木の貯水力、成長する力、環境防御能力の3つの働きに着目したスキン&マインドケアブランド「バウム」。シンプルステップのスキンケア、森の空気に包まれるルームスプレーやアロマキャンドルなど、商品パッケージに使われた木材は、「カリモク家具株式会社」の家具製造で発生した小さな木材をアップサイクルして使用。レフィラブル容器を多くし、リサイクルガラス、プラスチックの一部に植物由来のバイオマスPETを採用、ショッパーの無償配布を行わず、さらには、パッケージに使用した木材と同じオーク(ナラ)の苗木を育て森を作る計画を、「住友林業」の協力を得て進行中だ。心を解放させ、深いリラックスへ導く樹木から発散される芳香成分、フィトンチットを含む香調は、みずみずしい香り、静寂を誘う香り、そして甘やかな香りと3種類。部屋に置かれた佇まいも美しくピースフル。古の人々のように樹木との調和に浸る時間を取り戻そう。