仕事場を遊び場に!イラストレーター遠山晃司さんのアートな空間づくり
イラストをはじめ、グラフィックデザインなども手がける遠山晃司さん。渋谷区にあるマンションをリノベーションした住まいは、白をベースにした日当りのよい明るい空間だ。奥さまと長男の勘太郎くん(2歳8ヶ月)と、佳吾くん(5ヶ月)の4人家族で暮らしている。広々とした2LDK の一番の特徴は遠山さんのワークスペースがあることだ。
「仕事場を別部屋にして僕が閉じこもってしまうより、オープンにした方がいいかな、と。仕事をしているときは、意外と静かに見てますよ。時には一緒に並んで絵を描いたり、僕の作業を覗いたり。おもちゃを持ってきて横で遊んだり。不思議と大事なものには手を出さない」
大きな机に親子が並んで座っている様子は、とても微笑ましい。
ワークスペースは遠山さんにとってとても大切な場所。横の本棚はリノベーションする前に遠山さんが最も主張したところだという。
「本棚は僕の強い希望で天井から床まで、壁一面にしたかったんです。色も、家全体は白を基調にしてここだけ挿し色でイエローに。本がキレイで楽しげに見えるようにしたかったんです。本だけじゃなくて家族の写真や子どものおもちゃ、趣味のカメラなんかも置けるように、奥行きも通常の本棚より深くしました。家族みんなのお気に入りの場所ですね」
もう一つ、遠山さんにとって大事なのが机の前の壁面スペース。
「ここにはインスピレーションを得られるようなものをこのスペースに集めるようにしています。なので、気分や時期によって内容を替えたり並べ方も変えたり。この劇場の写真は、丸の内のイエローコーナーのアンテナショップで見つけました。ミラノのオペラ座のステージから撮ったもので、客席を見渡す空間が切り取られています。イラストを描く仕事って、ひとりでやるもので、こうして舞台に立って多くの人から見られるというシーンからは真逆にあるんですよね。自分が全く経験しない、相対するシーンを切り取ったものだからこそ、舞台に立つ緊張感や、人気のない劇場の雰囲気などを想像して、いろんなインスピレーションを得られるます」
仕事も趣味も子育ても、全て一緒の空間で楽しむ遠山ファミリーの日常は、なんとも新鮮で羨ましくもあるスタイルだ。
廊下スペースをギャラリーに
「壁も床も白くしたい」と希望したのは奥さまの奈美さん。「窓が大きく、光がたくさん入ってくるので、それを最大限に活かせる明るい家にしたかったんです」という。廊下の1面のみ壁紙を貼付けたのがいいアクセントになっている。
「白樺に洋梨という柄がすごく気に入りました」と奥さま。そこに立てかけられたライオンの写真は子どもたちのために。「視線が合うように床置きにしました」と、遠山さん。向かいの白い壁面には、同じくイエローコーナーからチョイスした2つの写真を飾る。
「僕と妻が出会ったのがニューヨーク。同じ大学の学生だったんです。そういうこともあって、ニューヨークの写真がいいかな、と夜景の作品を1枚選びました。もう一つはそれに相対するようなビーチ写真を。これはこの家の雰囲気に合うかなと思って」
無味乾燥になりがちな廊下が、写真を飾ることで、家族で楽しむギャラリースペースのようになっている。
パパの世界観を家族で共有する
NYでの学生時代に写真の勉強もしていたという遠山さん。ダイニングテーブルの横にはその時に撮った作品が置かれている。ソルトレイクシティで撮ったという作品は、GJジョーのジオラマとランドスケープを組み合わせたもので、「Little Man」と名付けたその一連の写真は作品集として大切にファイリングされている。ふたりのお子さんたちと一緒にパパの写真を眺める日が楽しみになってくる素敵な写真集だ。
玄関の棚の上に並ぶ2枚の写真は、遠山さんのNY時代の友人フォトグラファーJamie Chungが、二人の結婚祝いとして贈ってくれたもの。玄関の内側はサーモンピンクにペイントされ、入った瞬間からオシャレで楽しいファミリーの様子が伝わってくる。
親と子どもが楽しむ家
キッチンの横には子ども用のキッチン、リビングのサイドテーブルには勘太郎君が大好きなシュライヒの恐竜のフィギュアが並ぶ。親と子どものものが自然なかたちで共存し、溶け込んでいるのが遠山さんの家の魅力の一つだ。
「子どもなんで、散らかしますよね。おお、今日はそんな感じか」と驚くこともあります(笑)。でも、僕も子どもの遊びや興味を持つことにインスピレーションを得ることも多いし、好奇心を刺激されることも多いんです」と遠山さん。親と子が共に刺激し合う、理想の空間と言えそうだ。