DATE 2020.02.27

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世代を超えて受け継がれる〈アルフレックス〉のソファ「マレンコ」との心地よい暮らし(前編)

来年で発売から50年を迎える〈アルフレックス〉のソファ、「マレンコ」。イタリアのデザイナー、マリオ・マレンコによるこのソファは、親、子、そして孫と、世代を超えて愛用し続ける人が多いことでも知られています。長年インテリアやデザイン関係を中心としたライティングや編集に携わってきた私の実家に「マレンコ」がやってきたのは、35年も前のこと。それ以来、カバーは替えても本体はそのまま、座ったり寝たりと酷使してきました。
今回、3世代6人で使い続けてきたこのソファを、遂にメンテナンスしてもらうことに。そこで、「マレンコ」にまつわる思い出と、メンテナンスで新品のように生まれ変わった「マレンコ」のことを書かせていただこうと思います。

母が想い続けた理想のソファ

我が家に「マレンコ」がやってきたのは、私が小学校6年生の時のことだった。両親は前年に家を立て替えたのだが、新居には当初、ソファがなかった。といっても、母の頭の中には何年にもわたって理想のソファがあった。それが「マレンコ」だった。

 

母は専業主婦だけれど、プロダクトデザイナーだった父の影響もあって、インテリアやデザインに並々ならぬ興味を持っており、70年代から「Abitare」のような海外のデザイン誌を購読していた(彼女は物を溜め込まない人間なので、残念ながら1冊も残っていない)。父のデザイナーの友人や、父の姉夫婦の家のインテリアも、当時の一般的な日本の家庭のそれとは違っていたので、そこからも刺激を受けていたのではないかと思う。

「雑誌に載っていた『マレンコ』を見て、一目惚れして。それ以来、いつか必ず買いましょうね、といつも話していたの」という母。ただ、70年代の半ばまで住んでいた都心のマンションも、郊外に購入した建売住宅も、イタリア生まれのデザイン家具を入れるにはどう考えても狭かった。引っ越してから10年も経たないうちに、父が家を建て替えを決めた理由のひとつには、もしかしたら「好きなソファの置ける家を」という気持ちがあったのかもしれない。

そんなわけで、「マレンコ」の存在は私も小さい頃からよく知っていた。コロンとしたシルエットのソファは他で見たことのないものだったし、特に当時人気だったヌード地(ソファ本体を包む内側の生地)のかっこ良さ(「marenco」「arflex」というスタンプが入っている。現在は同じスタンプが入った「マレンコ」オリジナルカバーを販売)には、子ども心にわくわくしたことを覚えている。だから、新しい家が完成して暫く経った頃、遂に「マレンコ」が家にやってきた時は、両親だけでなく私も大興奮だった。

「マレンコ」がもたらした豊かな家族の時間

置かれたのは明るいリビングルーム。今主流のリビングダイニングではなく、ピアノの置かれた独立した一室だ。今は壁一面が本棚になっているが、当時はオーディオ製品一式とL字型のシステム収納があったので、家族揃ってそこで好きな音楽を聞いたり、映画を観たりしたものだ。80〜90年代、父はインテリアよりもAV製品に入れ込んでいたので、我が家には早くからレーザーディスクプレーヤーやサラウンドシステムがあった。今考えれば、画面こそ小さかったものの、ちょっとしたホームシアターを楽しんでいたと言えるかもしれない。

高校の途中までわりと真面目にピアノに取り組んでいた私は、練習に疲れると「マレンコ」に倒れこんで寝ていた。柔らかすぎず弾力性のあるモールドウレタンのシートは、うたた寝にはちょうどいい。また、暑い夏にはシートとシートの間に足を差し込んで、ひんやりとした感触を味わっていた。

ただ、先ほど書いた通り、リビングとダイニングが離れていたこともあって、私が大学生になった頃には親子3人揃ってリビングで寛ぐ時間は少なくなり、「マレンコ」はだんだん、父の休日用のデイベッド的な存在になっていった。再びフル稼動するようになったのは、私が結婚して、長男が生まれてからだ。

アームにも脚部にも金属や木が使われていない「マレンコ」は、乳幼児を遊ばせるのにもぴったりのソファ。長男も、また次男も、このソファでつかまり立ちをしたものだ。私は両親に子供たちを預けて仕事に出ることも多かったが、帰宅すると父と子供たちが一緒になって寝ていることもしばしば。長男が小学校に上がるタイミングでこの家に同居するようになると、昼寝組には夫も加わった。子供たちが小さい頃は、シートの隙間から小さなレゴブロックやら、探していたパズルのピースやらがよく発見されたものだ。

メンテナンスに合わせて部屋の模様替え

その後、1人掛けはダイニングに移動。父が好きなスポーツをテレビ観戦する時の特等席となった。昨年春に父が亡くなったあとは、母の定位置に。リビングに残された3人掛けの主は、この部屋で私に代わってピアノを弾くようになった長男となった。

「今でも十分座り心地がいいし、一番リラックスできる場所がここ」という長男だが、よく見れば中のウレタンはだいぶ小さくなり、カバーが緩んでいる。そこで今回、座面、背・アーム部分のダメージをメンテナンスしてもらうことに。一番楽しみにしているのはもちろん母だ。

メンテナンスに合わせて新しくするカバーを選んでいる時、「一人掛けだけ別の生地にする?」と母に尋ねると、「綺麗になって戻ってきたら、1人掛けをリビングに戻そうかしら。だからカバーは全部同じ方がいいわ」という答えが返ってきた。今年の我が家のテーマは、リビングの模様替えになるかもしれない。

BACKNUMBER 「マレンコ」が繋ぐ家族のストーリー
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