2020年9月
9月某日
保育園にお迎えに行った後、家まで歩いて帰る途中に「ねえ、サイゼリヤ寄ってかない?」と子。その言い方がいっちょまえで、ふつうに友達に誘われたようでおかしかった。どのみち家でも簡単にパスタで済ませるつもりだったから断る理由もなく、ふたつ返事で付き合う。
9月某日
東京駅周辺、新宿、吉祥寺のキャンプ用品店を一気にたくさんのぞいてまわる。まだ何をそろえるべきかよくわからず、とにかくリサーチをしている段階。iPhoneの万歩計を見たら15,000歩も記録されていた。夜はパプリカがなくきゅうりで代用した鶏肉のガパオ、なかなかおいしい。もちろん縁をカリカリにした目玉焼きと、大根のタイ風スープも。
9月某日
先日ニューヨークから届いた写真を額装して、どこに飾ろうかと悩む。ひとつは玄関、もうひとつは仕事部屋がよいだろうか。いよいよ来週末に迫ったキャンプに備えてあわてて道具を揃えているところで、このところピンポンピンポンと立て続けにインターホンが鳴る。夜は具材を入れて炊飯器で炊くだけの簡単カオマンガイと、空心菜のオイスターソース炒め。
9月某日
天気が荒れる予感。保育園へお迎えに行った帰りに見上げると、青い空に厚いグレーの雨雲がみるみると迫って、見事にはっきりと二色に分かれていた。子に「きょうの夜はなにが食べたい?」と聞くと、オムライスとのこと(大抵その答えになる)。今日ははじめて卵がうまく巻けた。義実家からぶどうがたくさん届く。
9月某日
大雨。子にカッパと長靴を着せて、歩いて登園させる。夜は豚肉とモロヘイヤのワンタン、ベビーリーフとモツァレラチーズ、トマトのサラダ。
9月某日
3年続けた歯列矯正の装置をやっと外すことになり、ひさしぶりに自分の素顔を見た。こんな顔だったかなあ。午後から出社。頼まれ仕事でなにかと忙しい。夜は麻婆豆腐、オクラとピーマンの煮浸し、アボカド。週末の天気がずっと気になっている。あまりに雨がひどいようなら、キャンプデビューを延期するのも選択肢のひとつかもしれない。
9月某日
ぎりぎりのタイミングで寝袋が届いた。なかなか気に入るものが見つからずに買えないでいたのだが、さすがに寝袋なしで出かけるわけにもいかないので、機能とデザインと値段のバランスを見てやっと決めたもの。ランタンは購入したものの結局間に合わず、夫の自転車のライトでしのぐことに(まあ、これが意外と使えた)。夜は家でメキシカン。チキンファヒータ、トルティーヤ、ワカモレ、コーンチップ、ぶどうとモツァレラチーズのサラダ。子と夫がてるてる坊主をつくった。
9月某日
朝5時に起床。曇っているけど、ひょっとしていけるのでは? 車に乗っていざ静岡へ。道中は土砂降りに見舞われたが、重い雨雲とすれ違うように移動をしたらしく、現地に到着すると、なんと青空が! 澄んだ空気が気持ちよい。湖の見える場所にテントとタープを張り、夜は途中のスーパーで買ってきた材料でバーベキュー。食後、子が腕の中で眠ってしまい、しばらくそのまま抱っこしていたら赤ちゃんの頃を思い出した。昔はこうやって、子の寝顔を間近でよく眺めていたのだった。その後むくりと起きたのでみんなで花火をする。満点の星空をずっと眺めていたくて、眠るのが惜しいほどだ。
9月某日
結局テントでぐっすりと眠って、朝の6時過ぎに目が覚めた。思いのほか早起きだ。ハムとチーズ、昨夜の残りの野菜を挟んでガスバーナーでホットサンド。朝食の片付けをしていたら小雨が降り始め、あわててテントとタープを撤収。東京にもどる前に、静岡の有名なチェーン店「さわやか」に寄って念願のハンバーグを食べた。夫に運転をまかせ、泥のように眠りながら帰京。大坂なおみさんが全米オープンで二度目の優勝をしたらしい。
9月某日
足がブヨにかまれてぱんぱんに腫れているので、出勤がてら念のため医者に寄ったら、採血に3種の投薬などおおごとになってしまった。甘く見ていたなあ、虫。子も皮膚科に連れていかなくては。夜、保育園から帰る頃にはもうあたりが暗く、季節はこれからまっすぐ冬に向かっていくのだと実感。帰宅後、ジェノベーゼとプチトマト、コーンスープ。子を寝かせたあとに一本映画を見て原稿を書く予定だったが、眠すぎて自分も起きていられるかわからない。
9月某日
4連休だが、天気はずっとぱっとしなさそう。午後、吉祥寺に出かけ、眼鏡の鼻当てを直してもらい、「タコスショップ」でタコスを食べた。子にはサーティーワンでピカチュウのアイス。以前なら選ばないフレーバーだが、今まさにポケモンにどハマりしているので喜びそうだなと思って。夜は楽しみにしていたオンライン試写があったが、不具合でなかなか始まらず、待つ間にワインを何杯か飲んでしまった。結局延期になったので、焼肉屋に移動してビールやマッコリを飲んでいたら、ひさしぶりにひどい酔い方をした。
9月某日
どうやら子はキャンプ以降、すっかりインドア派になってしまったらしい。休日も「おうちにいたい」と言ってゆずらない。でもリニューアルしたばかりの隣町の図書館に行こうと誘ったら、「紙芝居を借りる」と言ってついてきた。とつぜんの秋風に、夜は食卓もそれらしく、しめじの炊き込みごはん、茄子の忘れ煮、豚汁。
9月某日
職場と保育園に出かける夫と子を見送ると、ひさしぶりに一人きりになった。チャンス到来とばかりに、激辛のヤムウンセンをつくって朝から食べる。ずっと辛いものが食べたかったのだ。ところでいつも金曜日に1リットルの牛乳が二本届くのだが、たまに次の金曜を待たずにすべて使い切ってしまうときがある。木曜日の牛乳がない。「木曜日の牛乳がない」とつぶやいてから、なんだか小説のタイトルみたいだなと思う。
9月某日
IMAXシアターで、クリストファー・ノーランの『TENET』を鑑賞。座席を半数に減らしているとはいえ満席。前から二列目の席しか取れず、画面の大きさにビビる。二回目があるとしたら、今度はもっと後ろの席で冷静に観てみたい。夜、照り焼きハンバーグ、鶏手羽の煮物、大根とおあげの味噌汁、納豆、トマト、ごはん。
9月某日
夜は楽しみにしていた試写会があり、夫と子の夕飯を仕込んでから慌ただしく出勤。食事の用意がないならないで夫がどうにかするのだろうが、夜間の不在に対する自分なりの埋め合わせなのだと思う。試写後もすぐに帰宅するはずだったが、あれ、つい足が向いていたよ、ひとりで、大好きな焼き鳥屋にさ。だって渋谷なんてなかなか来ないしね。はは、うまーい。ビールもう一本ください。
9月某日
午前中に仕事のメールを一本送り、その後、べつの打ち合わせ。はじめての方との電話の打ち合わせは緊張する。終わっただけでほっとしてビールを開けたい気分。雑誌のコラムの校正を戻して、やっと遅めの昼ごはん。やることが多すぎて、ちょっと横になってごろごろする(現実逃避)。夜は急遽友人が近くまでやってきてくれることになり、子のお迎え後、食事をする。子は最初「はずかしい〜」と言っていたのに、わたしよりもよくおしゃべりしていた。駅に着いた夫と待ち合わせ、子を連れて帰ってもらい、今度は自分たちだけでもう一軒。忙しかったが楽しい日だった。
9月某日
ずっと天気が悪いので、洗濯物が溜まりに溜まっている。いまだに単身用のちいさな洗濯機を使っているので、朝から4回もまわすはめになった。どっしりと重たくなったIKEAの大きな袋ふたつを担いで、夫がランドリーに乾燥させに行く。夜は冷蔵庫にあった残りもので、えびチャーハンと麻婆豆腐。
9月某日
ずっとやりたいと考えていたのだが、自宅の作業環境をすこしずつ整えていくことにした。まずは長らくただのスキャナ箱と化していた壊れたプリンタを処分して、軽く10年は経過していそうな外付けモニタも新調。夜はベランダから取った紫蘇と豚ひき肉入りのワンタン、ニラチヂミを生姜醤油やポン酢で食べる。子とふたりきりの時はこれくらい軽いのでちょうどよい。
※本連載はこちらの回にて最終回となります。ご愛読ありがとうございました。(Fasu編集部)