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無駄かもしれないことで、人の暮らしを奪ってはいけない。 —日本の民主主義の課題としての石木ダム問題

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無駄かもしれないことで、人の暮らしを奪ってはいけない。 —日本の民主主義の課題としての石木ダム問題

  長崎県と佐世保市が計画するダム計画をご存知だろうか。1975年に事業着手した「石木ダム事業(同県川棚町)」は、建設予定地の地権者らがダム建設に反対し対立したまま、反対運動の結果工事は止まっている。しかし2016年、工事差し止めを求めた住民側の仮処分申し立てを裁判所が却下。目下、長崎地方裁判所による石木ダム事業認定取消訴訟の判決が7 月9 日15 時に下される予定になっている。 水没予定地に13世帯53人が住んでいる。地権者側は「ダムは治水・利水面ともに必要ない」と主張している。計画当初から40年が過ぎたいま、ダム建設の根拠は妥当なものなのだろうか。「#いしきをかえよう」というダム建設を見直す運動は、坂本龍一をはじめいとうせいこうや伊勢谷友介らも参加。企業であるパタゴニアが全面的にサポートをしている。アメリカ本社はもちろん日本のパタゴニアも積極的に環境問題に関わるのはなぜなのか。 石木ダムの問題は、日本の民主主義という巨大で本質的な議論と同じ問題でもあるというパタゴニア日本支社長の辻井隆行さんに聞いた、石木ダムの過去、現在、そして未来。 (以下:Q=Fasu編集部、P=パタゴニア辻井さん) Q. 現在の状況と活動、そして次のフェイズへの移行から最終的な中止へと到れるとお考えでしょうか。建設と反対運動を巡るこれからの行動と予定を教えてください。P:いくつかの可能性が考えられます。ひとつは、ダム建設予定地の地権者が国に対して起こしている事業認定取消訴訟に勝訴すること。これは、国が事業主である長崎県に対して石木ダムに関する認可を与えたこと自体が不当であること、故に、長崎県が土地収用法を盾に行政代執行に踏み切る法的根拠を与えるダム事業認定そのものの取り消しを求めて行っている訴訟です。長崎地裁での裁判はすでに結審し、7月中旬に判決が出る予定です。ただ、日本では市民や地権者が行政を訴える行政裁判に勝つケースは非常に少ないのが現状です。どういう結果を裁判官が下すのか、注目したいと思います。 もうひとつは、見直しを求める圧倒的な世論が形成されることです。3年前には石木ダムに反対する県民の割合は20%程度で、50%程度の方は良くわからないと答えていました。それが、2018年1月に入って長崎新聞が行った県民アンケートでは36%が反対し、賛成は20%程度にとどまっています。それでも、良くわからないという方がまた40%以上いる現状を考えると、もっと多くの方々に知っていただき、声の中身にかかわらず、行政にはその意思をしっかりと汲み取ってもらいたいと願います。 長崎県民2500人を対象とした「石木ダム建設計画」に関する意識調査結果報告書 by patagonia   Q.反対側として、ダム建設を中止した場合に起こり得る懸念事項は何かありますか?P:はい。これまでの50年近くの間にダム建設計画に翻弄された方々の保障や、地域の生活環境の修復などは、計画が見直された後も丁寧にフォローされる必要があると感じています。 Q.現地の人以外が建設反対をすることの意味と意義はどこにあると考えていますか? 中止させることでもたらされる未来へのいいことはどんなことが考えられますか?P:水源連によれば、もし行政代執行によって強制的に資産が奪われ、機動隊などの権力によって住民が排除された上で石木ダムが建設されれば、それは日本ダム史上初のことになるそうです。反対に、もし市民の声によって計画が見直されるとすれば、それは事業が認可され、国の予算が付いたダム計画にとって初めてのことになるそうです。つまり、どちらに転んでも日本のダム行政にとって初となる可能性が高いのです。そういう意味で、長崎の小さな計画という目で見るのではなく、日本の市民民主主義や未来の決め方の将来を占う分岐点でもあると感じます。 Q. 行政側の説明に妥当性が欠けるとするならば、それでも建設が進んでしまうこの問題の本質はどこにあるのでしょうか。P:国民や県民、市民のニーズを汲み取った公共政策が行われていないことが本質のひとつだと思います。今から50年前のニーズと現在のニーズが異なるのであれば、行政はそれをしっかりと吸い上げて、わかりやすく市民に説明した上で方向転換を行うこと。一方で、市民は行政の行うことをしっかりと見つめ、必要なときには意思表示をすることが大切です。 Q.13世帯の問題とした時、人によっては、過疎地域であることを含め、効率を考えるのであれば移住すべきとする人がいるかもしれません。そう考える方にはどのような説明をされますか。P:石木ダムの建設予定地は、川棚町の中心地へは車で5-10分程度と他の市町村へのアクセスも良く、また現地には4世代にも渡って幼稚園生から年配の方までが暮らしており、いわゆる過疎地域ではありません。また、基本的人権のひとつでもある生活権についてはご本人たちの意思が尊重されるべきであり、他人が簡単に口を挟むべきではないと思います。 Q.住民側からエビデンスを提出した上で、40年以上の間に生まれた知識や技術やテクノロジーなどの進歩によって、新たな解決策を提案することも可能なのではと思うのですが、538億円でできる他のことなど、別案の提案はあり得るものでしょうか。P:石木ダム建設は、そもそも佐世保市の水が将来不足するであろうという予測に基づいて計画が進められようとしている訳ですが、佐世保市では毎年11%以上もの水が水道管から漏れ続けています。これは、長崎市の6.4%、呉市の4.0%、福岡市の2.0%と比較しても著しく高い数値です。石木ダム建設を行うかどうかにかかわらず、これからも市民に水を届けるには水道管の補修は避けて通れない公共事業であり、その優先順位を上げることは十分に合理的だと考えます。 Q.この問題を知って、中止すべきと考えた人がこれからできることを教えてください。P:ここでは二つのアクションをご紹介したいと思います。ひとつは、「#いしきをかえよう」で計画について公開討論を求める署名にサインをしていただくこと。もうひとつは、ダム建設予定地に住む人々の豊かでユニークな生活を描いた映画を観ていただき、出来るだけ多くの知人、ご友人にシェアいただくこと。東京では、渋谷のユーロスペースで7月7日から封切りになります。詳細は、こちらをご覧ください。 さきほどお話したとおり、世論の声が大きくなればなるほど、またこの問題が長崎県内に限らず全国に広がれば広がるほど、行政はその声に耳を傾けてくれると願っています。 映画『ほたるの川のまもりびと』Q.パタゴニアは「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことを企業理念の中に掲げ、様々な環境保護活動を行っていますが、パタゴニアがそうした活動を企業理念としている理由を教えてください。P:死んだ地球ではビジネスは成り立たないからです。また、世界中で引き起こされている環境問題の80-90%はビジネスに起因するものだと言われていますが、それが事実だとすれば、ビジネスにはそれを修復する責任がありますし、ビジネスの中そのものに解決の糸口があるはずです。 Q. そんなパタゴニアが支援している環境活動を具体的に教えてください。また石木ダム問題をそうした取組の中のひとつとしたのはなぜでしょうか。P:日本支社が取り組んでいる環境問題は多岐に渡ります。(詳細はこちら)石木ダムの問題に取り組んでいるのは、さきほどお話した通り、地方の一公共事業という規模感を超えた、日本の市民民主主義、日本の未来にとって大切な分岐点となる象徴的な事業でもあるからです。 Q.環境をめぐる運動は高度経済成長期以降、特に増えたと思います。時代の変化と共に、そうした運動は何か変化をしてきたのでしょうか。P:僕自身は高度経済成長期には環境をめぐる運動にはかかわっていませんでしたが、今の時代にひとつ言えることがあるとすれば、僕たちは全員、運命共同体であるということです。例えば、気候変動によって引き起こされるハリケーンや干ばつ、洪水や山火事などの甚大な被害は、政治的主張や支持政党、イデオロギーや所属する会社によって被害の度合いが変わるわけではなく、僕たち全員が引き受けることになります。もはや、利益相反や二項対立という視点ではなく、あらゆる立場の人が参加する時代だと感じます。 あ、ひとつ思い出したエピソードがあります。有名な『ディープ・エコノミー』や『人間の終焉』の著者でもあり、気候変動に関する国際NPO、350.orgを設立したビル・マッキベンさんがこんなことを仰っていました。 「よく環境活動家は “過激(ラディカル)”だというレッテルを貼られる。でも考えてみてください。環境活動家は、これまで人類みんなが慣れ親しんだ地球を出来るだけ本来の姿で残したいと願っているんだから、きわめて “保守的(コンサバティブ)”だと思いませんか? 変化を避けて、昔からの姿を守ろうとしているだけなんですよ。反対に、本当に過激なのは、大気中の成分比率を変え続けてみて(つまり、温暖化の原因であるCO2をこのまま増やし続けて)何が起きるのかみてみようぜ、という人々ですよ。人類が滅亡するかもしれないのに、そんなことを続けるなんて過激じゃないですか(笑)」 と。僕もまったく同感です。 Q.子どもにとって環境問題はどうしても教科書的に教えられることが多い話題です。子どもにはどう話しをすれば、その後のアクションに繋げられるでしょうか。P:SDGs(持続可能な開発目標 )という考え方が少しずつ社会に広まる中で、こんなことが起きているそうです。学校向けに本を編集された上田壮一さんから伺ったんですが、「良い学校に入るため」の勉強には身が入らなかった生徒が、「自分たちの未来を作るため」に大切な環境問題や社会問題には目を輝かせて没頭していると。何のために必要なのかがわかれば、子どもたちは大人が考えつかないようなアクションを自ら起こすのではないでしょうか。 Q.これから世の中の企業や組織が行うべき役割、個人がすべきことがあれば教えてください。P:先ほどもお話したとおり、ビジネスが出しているインパクトを真摯に見つめれば、企業の経営者やトップがリーダーシップを発揮することが鍵になると思っています。

2018.06.28
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先月イタリアで3つの展示があり、2週間滞在した。それぞれ別の場所だったが、3つともミラノ在住の親友は週末ごとに来てくれて、一緒に楽しく過ごした。滞在中、彼女の娘の8歳になる櫻ちゃんはずっとうちの娘の面倒をみてくれて、とても助かったし、娘もよくなついて彼女のあとをついて回った。 親友とは10年以上のつきあいで、お互いが独身の頃には毎週末彼女がうちに泊まりに来たり、平日は自分が当時彼女の営んでいたバーに飲みに行ったりして、ある時期を長い時間一緒に過ごしていた。彼女が結婚してイタリアに移住してからも、ヨーロッパへ仕事に行くたびに仕事先に来てくれたり、仕事の合間や帰りに自分がイタリアに立ち寄ったり、彼女が帰国すると、必ずうちに泊まりに来たりして、途切れずに会っている。普段物理的には遠い場所に住んでいるけど、精神的な距離感はずっと変わらない関係だ。それはお互いの家族を持ってからも変わらない。正確にいうと出会ったころのような友達としての親密感よりも、もう少し家族感が増したような感じだ。娘同士が会うとくっついて離れないほど仲良くしている様子を見ると、昔住んでいた、東京のマンションの一室でふたりでゴロゴロ寝転びながらテレビを見てつっこんだり、だらだらお酒を飲みながら大笑いしたり、それぞれの悩んでいたことをつらつらと話しては泣いたりした日々を思い出し、当時の一人暮らしの部屋のリビングの上から俯瞰でふたりを眺めている気持ちになる。そして10年後くらいにこんなふうに娘たちが一緒に遊んでいるよ、それを眺めてふたりで半泣きになって喜んでいるよ、とあのときの自分たちに声をかけたくなるのだった。  

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第1回:多様な生き方、暮らし方
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閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

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