永山 祐子|わたしと家族と、 家ものがたり。Vol.2
家族の時間を重ねて行く「家」だから、家族皆がどこにいても安心感に満たされているものでありたい。第2回は、建築家の永山祐子さん。大胆なリノベーションを施したヴィンテージマンションの最上階に、お邪魔しました。いまをときめく女性建築家の自邸。その工夫と魅力に迫ります。 家族の気配を感じられる、大きなワンルーム。築44年のヴィンテージマンション。7階まではエレベーターで行き、そこから重い扉を開けると、光の差し込む階段が伸びている。このマンションの8階部分である最上階のすべてが、建築家、永山祐子さんの自宅だ。 むき出しのコンクリートとガラスで囲まれた階段部分には、巨大なアート作品が掲げられている。階段を上りきると、そこには潔い大空間が広がっている。モルタルを施した壁、天井は木毛セメント板、磨かれたようにクリーンなアッシュ材の床板。まるでホールのような、美術館のような静謐な空気に満ちている。空間の一部を大きな木の引き戸で仕切ることができる120平米のフロアには、リビングもダイニングもキッチンも、そして寝室も備わっている。可動式の大きなクローゼットが一か所にまとめられていて、ヴィジュアルの美しさが際立ったワンルームだ。東側一面の大きな窓ガラスの向こうには、室内の床板とおなじ高さで広がる90平米のテラスが広がり、室内空間をさらに広く見せている。