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Vol.5 夏休みとバリカン
そんなふう 68

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そんなふう 68

実家に帰ったのは8ヶ月ぶりだった。お盆に帰るのも自粛される方がたくさんいるなかでどうしようか迷ったが、直前の1週間は外出せずに家族だけで過ごしていたし、いつも新幹線を使っていたのを車で移動することにして決行した。とくになにをするわけでもないが、ただ両親と3食をともにし、御詠歌をあげ、お墓まいりをしたり、ひととおりお盆の儀式をしたら少し気持ちが落ち着いた。   コロナ渦で仕事は減少したが、新しい写真集とこの連載をまとめた写真とエッセイの本を出すことになったため、この数ヶ月は編集したり、加筆修正する作業の時間に十分に充てることができた。それに伴い、ここ3〜4年分の写真と映像を全てじっくり見返すことになったのだが、いまの生活とは真逆の移動を繰り返す日々だったことを思い出し、随分と状況が様変わりしたことをしみじみと実感した。国内外の出張もあったが、実家にはこの数年仕事も兼ねて平均2ヶ月に一度は帰っていた。過去の写真を見ながらまた旅行したいな、という気持ちになるよりも、各地に住んでいる両親や義母、友人に会いたいという気持ちが先に立つ。こんな状況になるまえは、会いたければ自分が会いにいけばいい、と思っていたが、そんな自由があったことがいまとなっては貴重なことだ。それを経ての久しぶりの実家でお盆だったから、自分の心持ちひとつで見慣れた景色が違って見え、噛みしめるように数日過ごしたが、娘はわたしの心中など知るよしもなく、普段の生活と変わらずに元気よく遊び、時々ぐずったりした。一緒にいることで余計な感傷に引きずられそうな自分を引き戻してくれたことがありがたかった。   そんな彼女はぐずって泣いてひととおりわがままを言ったあと、あまえたい〜と言って抱きついてくることが近頃よくある。ストレートにあまえたい!と言われるときもあって、そんな時はわかりやすくて助かるのだが、本人もなぜぐずっているのかわからない時もあるようで、最終的にあまえたかった、とつぶやき、言われて自分も気づく、を繰り返したので、最近はぐずりだすと抱きしめるようにしたらすぐに収まるようになった。背中をトントンしながら自分がぐずって泣いて収まりがつかなかった幼い頃を思い出す。自分もただ母の関心をひきたくてわがままを言っていたこともあったのかもしれない。いつのまに自分はそういった感情を抑えるようになったのだろう、と考えてみる。遠回しな表現でその時々に近くにいた家族や友人に甘えていただけで、いまもあまり変わらないのかもしれない。自宅に帰る前日、父と喧嘩になった。内容は割愛するが、結果的に父を強い口調で責めたことが後味が悪かった。自分のことをわかってほしいけれどわかってくれないことに苛立った。それは甘えたい気持ちの裏返しなのか?と自分に問うてみる。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。大人になった自分でも、よくわからない気持ちを持て余した。ただ寛容な気持ちになれなかった自分が厄介で嫌になり、素直にあまえたい!と叫ぶ娘が羨ましいような気もした。

2020.08.31
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第1回:多様な生き方、暮らし方
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第1回:多様な生き方、暮らし方

閃いたのは、新しいクリエイティブのヒント? それとも週末のパーティのアイデア?……ホームオフィスを舞台に、生き生きと働くこの女性。実は『Fasu』のファミリーを想定しながら最新のテクノロジーによって生み出されたデジタルヒューマンです。揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事に家事に家族とのクリエイティブな毎日を楽しむ『Fasu』的な暮らしを送る母親像をあらゆる面からキャラクタライズして生まれたこの女性は、私たちが生きる、ほんのちょっと先の未来を想定して生み出されました。 コロナ禍をはじめ、混乱する社会情勢、テクノロジーの急激な進化と未知の世界を歩む私たちですが、このデジタルヒューマンが暮らすちょっと先の未来では、果たして私たちは、どのような家族のかたちを求めて、どのように暮らしているのでしょうか。そんな未来の家族のあり方を、グローバルイノベーションデザインスタジオ「Takram」でデザイン、アート、サイエンスほか多岐の分野に亘ってデザインエンジニアを務める緒方壽人さんに3回にわたってお話を伺います。第1回目である今回は、家族での長野県・御代田への移住と、10年来続けてきたというオルタネティヴな暮らし方にいて訊ねました。 これからの人間とテクノロジーのあり方や共生を探る『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN刊)。その著者でもある緒方壽人さんは、この本の中で、「ちょうどいいバランス」を探すことの大切さについて触れています。 「暮らし方や家族のあり方は多様で、未来に何かひとつの理想形があるとは思いません。ですから今日お話しできることは、僕自身の家族のことや、これまでの経験から考えていることでしかないのですが……」 そう前置きしながら、控えめに、ゆっくりと話し始めた緒方さん。その穏やかな様子は、移住先である御代田の空気をそのまままとっているかのようでした。   〜〜 中略 〜〜 WHAT’S DIGITAL HUMAN? 揺るぎない自分らしいスタイルを持ち、仕事、家事、そして家族とクリエイティブな毎日を楽しむ女性。本記事トップビジュアルとして登場したこのモデルは、先述のように『Fasu』ファミリーの母親像を、顔立ち、ヘアスタイル、メイクアップ、スタイリング、さらにはライフスタイルに至るまであらゆる角度とディテールからキャラクタライズし、生み出されたデジタルヒューマンです。 最新鋭のテクノロジーを用いて生み出されたこのデジタルヒューマンは、東映デジタルセンター「ツークン研究所」、及び『Fasu』を擁する私たちアマナにより「企業広告や、ファッションカタログ、またメディアにおけるモデル使用における様々な課題解決」を目的として開発されました。 このバーチャルモデルを用いることで得られるメリットは1. 人種、人選、肖像権問題にまつわるリスク回避 2.使用期限や版権の制限フリー 3.リモートによる発注から納品 4.インナーブランドの統一化 5.CGによる表現可能領域の拡大……ほか多数。コミュニケーション及びコスト、クオリティなど、モデル使用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げていきます。 デジタルヒューマンが描き出す、新しいモデルのあり方と可能性、そして未来にご期待ください。 問い合わせ先:

2022.11.17
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