『めにみえない みみにしたい』が公演中、マームとジプシー藤田貴大さんインタビュー。「その時、その場にいた質感を覚えていて欲しい」
マームとジプシーによる4歳から楽しめる演劇『めにみえない みみにしたい』が、現在、彩の国さいたま芸術劇場で5月6日(日)まで開催されている。藤田貴大さんが主宰を務めるマームとジプシーが、子どもと楽しめる演劇を手がけるのは初めて。公演直前、藤田さんに『めにみえない みみにしたい』への思い、子どもたちに伝えたいことを聞いた。 「不安もあったし、プレッシャーもありました。稽古の序盤は4歳以上が対象だということを意識していましたが、最終的にはその事はあんまり関係なくなって、いつもと同じ作業に戻った感じで、マームとジプシーでの普段の作業と一致してきていることにとても手応えを感じています。子どもに見てもらうからといって、ただ『分かりやすい』作品にするのではなく、自分たちにとっても新しいと思えるモチーフに挑戦できていて、それが楽しいですね」 ──故・蜷川幸雄さんが芸術監修を務めた彩の国さいたま芸術劇場。マームとジプシーは2016年に公演を行い、昨年は地元の中高生を交えた演劇のワークショップを行ったりと交流を深めてきた。そんな流れから生まれた今回の企画は、「すっと、違和感なく入れた」と話す。「蜷川さんは生前、何回か『藤田くんには、自分ができないことを劇場とやってほしい』と言ってくれました。僕がいろんな意味でフレキシブルに動けそうだと評価してくれて、そんな風に言ってくれたんだと思います。僕は20代の頃、18歳までの自分自身の記憶、つまり自分が子どもだった頃をモチーフにした作品を発表してきました。現在は、マームとジプシーの活動と並行して、中高生と共に作品をつくったり、自分より若い世代に向けてワークショップを実施したりしています。今回は、彩の国(さいたま芸術劇場)にオファーしていただいた企画ではありますが、自分のこういった流れの中で、必然的に取り組みたいと思った作品だと実感しています。彩の国はそういう(彩の国以外での)僕の活動や作家としての流れも見てくださっているからこそ、この企画をオファーしてくださったんだなと思っています」