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映画『メモリーズ・オブ・サマー』“息子は小さな恋人”について考え直す
男の子を持つ母親は、「息子は小さな恋人」と感じる瞬間がある。私自身も男の子を持つ親として、そんな風に感じる時もあるけれど、正直「ママが恋人なんて、迷惑じゃない?」「小さいうちだけだよね」とそこまで深く考えたことがなかった。6月から公開される映画『メモリーズ・オブ・サマー』を観るまでは。 先に言えば、『メモリーズ・オブ・サマー』は、決してそんなお題をテーマにした作品ではない。12歳の少年ピョトレックが過ごしたひと夏の出来事を、美しく切なく切り取った叙情的ストーリーである。思春期ならではのどきどきやそわそわ、揺れ動く心情が丁寧に切り取られており、まるで昔味わったその頃に戻ったような感覚になる。 映像の美しさは言うまでもなく、作品全体に漂う静けさの中に「いつこの平和が壊れるのか」という不安な要素が充満していて、一瞬たりとも気を抜けないサスペンスフルなストーリーに釘付けになった。 思春期の少年の思いは、友達や異性にだけでなく母親にも向けられていた。母親は、整った体型で水着をさらりと着こなし、ミニスカートとノースリーブのシャツをはためかせながら自転車を乗りこなす魅力的な女性。父親は外国で出稼ぎ中。母とふたり、夏休みをのんびり過ごしている少年だった。