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春の境目の日に久しぶりに会った2人のおかあさんに、頑張ったね、よかったね。これからも楽しみだね、と言われて、でも大変なこともたくさんあるって聞くけどね、と言うとびっくりした顔をされて、ぜんぜんだよ、ほんとうに楽しいよ、いいことばっかりだよ!と2人ともに力強く返された。その瞬間にあたたかくて黄色いような空気にふわっと包まれて目が覚めるような気持ちになった。おなかの底から持ち上げられるように少し宙に浮いて、そうか、そうなんだ、とはっとした。ぼうっと一本道を歩いていたところをぐっと腕をつかまれて明るいほうの道へ連れていってもらえたかのようだった。分かれ道だったことさえも気づいてなかった自分は、彼女たちの創り出すものがいつもきらきらとしていたことに今更気づいたのだった。そういえば先週移動中に車から見つけたビルボードのポスターに彼女の顔を見つけて目を奪われたのも、知っている人だから、ではなくてそこだけ街のなかでひときわ光っていたからなんだろう。いままで境目の日にこうやって助けられてきたけれど、きょうもまた。自分も他者にとってそんなふうな役割を果たせるような存在でありたい。