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シャッターを押したときに既視感があった。まるでタイムスリップしたかのように時空が歪むような、目の前にいる自分の子供の肉体に自分が吸い込まれるかのような、不思議な感覚。すぐに自分のアルバムのなかの一枚とそっくりなんだと気がついた。40歳以上若い父に抱かれた自分も同じように前掛けをつけて少ししかめっつらをしていた。写真を撮られたときのことは覚えていないはずなのに、アルバムに貼られた写真を繰り返し見たせいで、はっきりと覚えているかのような錯覚。記憶に残っていないようで、どこかにしまわれているのだろう。40年分の時間を飛び越えて、若々しい父の声が聞こえてくるかのようになまなましいデジャヴで、自分の子供が自分自身に見えて来るような、奇妙な瞬間だった。時間にするとほんの数秒のことだったけど。