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映画『女は二度決断する』偽りなき決断に圧倒される、ラスト10分の葛藤
「家族を突然の悲劇によって奪われたら……」。それが病気や自分で起こした事故ならまだしも、殺人やテロなど、他者が意図的に仕向けたものだったら。怒りや悲しみを、どう消化したら良いのか。 4月14日から公開される映画『女は二度決断する』では、主人公の女性がテロリストに愛する夫と息子を奪われ、ある決断を下す社会派ヒューマンドラマだ。 移民が多い国ドイツで起こった実際の事件に着想を得て作られたこの映画は、「自分だったらどうする?」という疑問を問いかけ、観た人すべてに強烈な余韻を残す作品だ。ラスト10分、家族を失った主人公が繰り広げる心の葛藤に、あなたは何を感じるだろうか。 オープニングは、幸せに包まれた夫婦の結婚シーンから始まる。ドイツ人女性のカティヤは、かつて麻薬の売人をしていたが今はコンサルタント業を営むトルコ人のヌーリと結婚する。愛息ロッコにも恵まれ、幸せな毎日を過ごしていたある日、ヌーリが働く事務所の前で爆発事件が起こった。