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映画『アエイオウ』安藤桃子監督に聞く、子どもにとって幸せなこととは?
映画『0.5ミリ』で数々の映画賞を受賞し、結婚・出産を経て、1児の母になった映画監督の安藤桃子さん。現在は高知に住み、期間限定の映画館『ウイークエンドキネマM』を昨年11月にオープンし、運営を行っている。 産後初の監督作である映画『アエイオウ』がショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2018で公開される。『アエイオウ』は『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project』の6作品中の1本として上演され、6月22日(金)からは全国公開される。 ──安藤さんが「毛穴という毛穴から母性本能が出た」と語る出産や子育てから、映画製作の裏話、高知での活動について話を聞いた。完成披露上映会後の艶やかなドレス姿でインタビューに答えてくれた安藤さん。ドレスとシューズは母親である安藤和津さんが着ていたもの、また撮影直前まで羽織っていたトレントコートは父親である奥田瑛二さんのもの。安藤さんが今見ているもの、感じていることは何なのか? 感性あふれるエネルギッシュなトークは止まらない。 「『0.5ミリ』の公開時がちょうど臨月でした。ありがたいことに、たくさんの賞を受賞して、産まれる直前まで舞台挨拶や授章式に登壇して。毎日忙しくて、ものすごい稼働率だったから妊娠高血圧症候群になってしまい。先生に『仕事をするなら、塩分をゼロにしろ!』と言われて。塩分制限生活になりました。それはそれは、なかなかの修行でしたね(笑)。旨味、美味しさって、全てが塩だったんだ!と気づかされました。その時ばかりは、家族全員が健康食に詳しくなりましたね。発見したのは、イタリア料理が一番塩分を使わずに旨味が出るってこと。和食はやばいです、ほぼ塩分ですから(笑)」 ──忙しい日々は続き、そのまま高知に戻ることができず、出産は東京で。産後2ヶ月間は“こもり生活”を決めていて、家から一歩も出ずに過ごしたそう。 「多分みんな同じだと思うんですけど、妊娠中は自分と子どもって別の存在だったけど、産まれた瞬間から母親という具体的な意識が始まる。どれだけ母性を蓄えているのかは産んでみないとわからない。私の場合は産んだら、母性本能が毛穴という毛穴から出てしまって(笑)。どんどん母性が強くなり、子どもだけに集中したい、この瞬間瞬間が何より大事なんじゃないかと思ってしまって。