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映画『ブリグズビー・ベア』“ライナスの毛布”を奪わずに、あたたかく見守り、育むことの大切さ
“ライナスの毛布”を知っていますか?“ブランケット症候群”とも呼ばれ、小さな子どもが何かに執着することで安心感を得ることを言い、スヌーピーで有名なアニメ『ピーナッツ』に出てくる少年ライナスがいつも毛布を握りしめていたことから、そう言われるようになったとか。 自分自身にも、わが子にも、“ライナスの毛布”のような物への執着がなく考えたことがなかったが、映画『ブリグズビー・ベア』を観て、改めてこの毛布の存在が大事だということに気付かされた。 6月末から公開されている映画『ブリグズビー・ベア』は、ちょっと普通じゃないストーリーと設定にびっくりする。主人公の25歳の青年ジェームスは、世間と遮断された小さなシェルターで両親と暮らしている。子どもの頃から、毎週ポストに届く教育ビデオ『ブリグズビー・ベア』を楽しみにしていた。そんなある日、警察がシェルターからジェームスを連れて行き、両親が逮捕されてしまった。 実は25年前、ジェームスは赤ちゃんの頃に誘拐されていた。両親だと思っていたテッドとエイプリルは他人で、ふたりに世間から隔離され、育てられていたのだった。突然外の世界に放り出され、実の両親、妹と暮らすことになったジェームスは困惑する。 そんな中、毎週楽しみにしていた『ブリグズビー・ベア』についてまわりに聞いてみるが、誰も知らなかった。『ブリグズビー・ベア』は、テッドとエイプリルがジェームスのためだけに作ったオリジナルのビデオだった。ジェームスは、初めての外の世界に戸惑いながらも唯一の支えだった『ブリグズビー・ベア』を自分自身の手で撮影し、物語を完結させようと考えるのだった。